「短歌人」2022年12月号掲載作品
「ごん」ほか
山菜は玄関先に置かれあり大らかな字の手紙とともに
幾たびも〈ごん〉のごとくに山よりの恵みを運びくるる友だち
筍や庭に採れたるたまぢしやもいただく春とはつなつのころ
庭になる実は鳥たちとの競争に勝たねば口に入らぬといふ
飴色になるまでを煮るいちじくは大鍋の中ひしめき香る
等圧線の間隔狭きところにて又三郎のマントはためく
ToDoリストにするほどもなき事どもに紛れて今日も暮れてゆくなり
(同人2欄 冨樫由美子)
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