「短歌人」2024年3月号掲載作品
ポタ
ぽつぽつと零す言の葉カフェラテのカップを覗き込むやうにして
空つぽになつて何かを待つてゐる誰かではなくあなたでもなく
冬の朝のひかりとともにかき混ぜるコーンクリームポタージュスープ
ポタージュのポタの部分が旨いのだ木のスプーンがさう言つてゐる
ぽたぽたと落とす涙はくやしさのなみだ ここから出られぬことを
ここは何処ここは辺境おほごゑに泣いたところで届かぬほどの
ひとまへで号泣をしたことがある若き日夭き死にかかはりて
※同人2欄 冨樫由美子
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