「短歌人」2022年7月号掲載作品
表面張力
木蓮のあからさまなる咲きやうを受けとめきれてゐない青空
あたらしい靴がほしいと思ふのは何かをはじめたいときだらう
公園のシンボルツリーに会ひにゆく小さき散歩を晴れた朝には
クレヨンで描いた地図をあげるからわたしの町にあそびにおいで
図書館の裏手のカフェは音楽を流してをらず窓がまぶしい
シルバーのミルクピッチャー、砂糖壺。白い茶器には紅茶が澄んで
をはりゆく春の表面張力はアップルパイをしづかにくづす
(同人2欄、冨樫由美子)
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