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病院受診そして首の手術

韓国から帰国して間もなく、母に連れられて整形外科を受診した。
手の指が曲がらないことを伝え、様々な検査を受けた。
神経内科にも一度診てもらったが、そこでは異常がないと言われた。

様々な検査を受けた結果、頚椎に問題があると告げられた。
私の首は上を向いたり下を向いたりした時に首が曲がり過ぎるため、その度に神経を圧迫していることが上腕の筋萎縮につながっているのではないかと言われた。それを治すためには首の手術をして、首が曲がり過ぎないよう固定する必要があるとのことだ。

それまで手術など経験したことがなかったので、どんな風になってしまうのかとても不安だった。しかも首を切るなんて想像するだけでも恐ろしい。

首を手術するのにあたり、頭の下半分の毛を剃らなければいけない。
手術後は首を固定するゴツいカラーを着けなければならない。
術後1週間程度はベッド上で絶対安静でいなければならない。

こんなことを次々に言われ、不安と恐怖と恥ずかしさでいっぱいだった。
でもこの症状を治すにはそうするしかないと覚悟を決めた。

大学3年の春休みを利用して、首の手術を受けた。
全身麻酔の大がかりな手術など、もちろん初めての経験だったので、術後どうなっているのか不安だったが、いざ手術室に入ると、麻酔科の先生と挨拶したなと思ったらもう手術は終わっていて、ベッド上で名前を呼ばれていた。私にとってはあっという間の出来事だった。

手術直後は眠気が酷くて、なかなか目を開けられなかった。
先生たちが何人も私の名前を呼びに来ていた気がするが、「こりゃ、まだダメだ」と言って戻っていく先生もいた気がする。

麻酔が覚めてしまうと傷口が痛むのではないかと思い、必死で先生の呼び方を無視し、なるべく長く眠ることにしていたのだ。
先生たちには心配をかけて悪かったと思うが、少しでも長く眠っていたかった。

麻酔が覚めてからは、傷口の痛みよりも腹痛に悩まされた。
下痢の時のような腹痛があり、出したくても出せない状態が続いていたのだ。
トイレに行きたくても、ベッド上でしか許されないので、なかなか出す事も出来ず、本当に辛かった。あぶら汗をかきながら、必死に看護師さんにこの苦しみを訴え、最終的に看護師長さんがミント の香りのするホットタオルをお腹にのせてマッサージしてくれた。
するとすぐに寝た状態でも便が出て、腹痛も落ち着いた。あの時は本当に辛かった。あの看護師長さんがいてくれなかったらと思うとゾッとする。看護師長さんはさすがだなと思った。いまでもあの時助けてくれたことを本当に感謝している。

ベッド上の生活は色々と不便だった。
トイレももちろんそうだが、食べるのも寝た状態でしか食べれないので、病院の近くに住む叔母がよく食事介助に来てくれていた。
叔母に食べさせてもらいながら、愚痴を聞いてもらうのが良い気分転換だった。

視界も狭くて、誰か来ても、近くに来てくれないと誰だかわからないのが嫌で、手鏡をうまく利用して、あちこち見れる状態にしてみた。テレビも鏡に映して観たりしていた。
首が動かせないというのは本当に厄介である。

お風呂にも入れず、頭も痒いし、苦痛だったな。

1週間後にようやく上半身だけ起こしてもらえた。
この時はさすがに頭がクラクラして、目が回ってしまった。
ずっと寝たきりになっていると、ただ頭を上げるだけでもこうなってしまうのかと驚いた。
この経験があったから、将来自分が寝たきりになる事だけは避けようと思うようになったのかもしれない。

10日間のベッド生活を終えて、ベッドから離れられた時は本当に幸せだった。
ベッドから車椅子に乗ることを許されて最初に向かったのはトイレ(笑)
やはりベッド上のトイレだけは慣れない。
トイレで排泄できることがどれだけ幸せな事か。

自由に動けるって素晴らしい!

心からそう思った。

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