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【灘中学校2020年度入試(2日目)算数第4問】正しく図形を読み、正しく計算せよ

灘中学校2020年度入試の算数も2日目の第3問があまりに退屈な問題だったので、引き続き第4問をアップしたいと思います。この問題を入れてあと2問です。

2日目の前半はザコ感がハンパなかったわけですが、ようやく少しだけ面倒な問題がやってきました。とはいえ、難しくはないと思います。

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灘中学校・高等学校
2011年8月28日、Saoyagi2撮影、Wikipediaより

[問題] 平面上に,1辺の長さが 6cm の正三角形 ABC と,半径が 6cm の円の形をした輪があります。輪ははじめ下(原文では右)の図のように置かれていて,輪の中心は点 B と重なっています。

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次のように輪を平面上で移動させるとき,輪が通過する部分の面積をそれぞれ求めなさい。ただし,輪の太さは考えないものとします。また,円周率を 3.14 とし,三角形 ABC の面積を 15.59 cm2 とします。

(1) 和の中心が,辺 BC 上を B から C まで動く。

(2) 和の中心が,辺 AB 上を B から A まで動いたのち,辺 AC 上を A から C まで動く。[問題終わり]

この問題の難しいところがあるとすると、輪の通過する部分を正しくとらえることができるかです。それができればあとは計算のみだと思います。

(1) は次のはい色の部分の図形になります。

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見ての通り、半径 6cm の円が 1個分と、12 x 6 の長方形が 1個分の面積の和から、白い部分の面積を引けばいいのがわかります。

円の面積: 6 × 6 × 3.14 = 113.04
長方形の面積: 12 × 6 = 72

ということで、白い部分を求めますが、それは次のように考えればいいと思います。

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上の図のはい色の部分の面積を2倍すればいいのですが、おうぎ形の角度は 120°、白い三角形の面積は正三角形 ABC の面積と同じになります。したがって、

おうぎ形の面積: 113.04 ÷ 3 = 37.68
三角形の面積: 15.59

差をとって 2 倍すると、(37.68 - 15.59) × 2 = 22.09 × 2 = 44.18

したがって、113.04 + 72 - 44.18 = 140.86cm2 となります。

(2) は次の図形になります。

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今度は、半径 6cm の円が 1個分、1辺が 6cm の正方形が 3個分の面積の和から、「60° のおうぎ形から正三角形 ABC を取り除いた図形」が 3個分の面積と、下の小さい白い面積を引けば、はい色の部分の面積が求められます。

円の面積: 113.04
正方形の面積 3 個分: 36 × 3 = 108
60° のおうぎ形の面積 113.04 ÷ 6 = 18.84
上の「…」の面積: 18.84 - 15.59 = 3.25

問題は下の小さい部分の面積であるが、これは (1) の図を参考にして次のように求められます。

(下の小さい部分) = [ (12 x 6 の長方形) - { (半径 6cm の半円 2個) - (白い部分の面積) } ] ÷ 2 = { 72 - ( 113.04 - 44.18) } ÷ 2 = (72 - 68.86) ÷ 2 = 3.14 ÷ 2 = 1.57

以上の計算から、113.04 + 108 - 3.25 × 3 - 1.57 = 221.04 - 9.75 - 1.57 = 209.72 cm2 となります。

この問題は、輪が通る部分を正しくとらえられるかと、面積の計算を早く正確にできるか、の 2点にかかっていると思います。

それだけの問題だと思いますが、輪が通る部分を正しくとらえるのは私が思っているよりも難しいのかもしれません。

図形がかければ、面積を計算すること自体は灘中学校の受験生であれば難しくはないだろうと思います。

今年の問題であれば、理想はこの問題までで見直しも含めて 30分。35分くらいならまずまずでしょう。合格者の上位層ならば 30分もかからないと思います。

高得点を目指すならば、その上で残りの時間を最後の問題に使いたいです。

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