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【灘中学校2020年度入試(1日目)算数第6, 7問】いきなり実力が問われる後半戦の開始

さて、引き続き灘中学校2020年度入試の1日目算数を取り上げますが、今回は後半(2枚目)の最初、第6問と第7問です。いきなり解答時間に差がつきそうな問題の登場です。

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灘中学校・高等学校
2011年8月28日、Saoyagi2撮影、Wikipediaより

[問題6] 下の図(原文では右の図)のように,正方形の板に点 A を中心とする円がかいてあり,その円に沿って,0 から 9 の目盛(めもり)が等間隔(とうかんかく)に刻まれています。また,この円と同じ半径の円盤(えんばん)が点 A の位置を中心として回転できるように板の上に置いてあり,この円盤には 0 から 8 の目盛が等間隔に刻まれています。

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初めは,0 の目盛どうしがぴったりと合わさっていて,円盤は 1時間かけて,時計の針の回る向きと反対の向きに一定の速さで 1回転します。板の 7の目盛と円盤の 8 の目盛がぴったりと合わさるのは,円盤が回転を始めてから ((ア)  分  秒) 後で,それから,さらに 40分40秒後には,板の ((イ)  ) の目盛と,円盤の ((ウ)  ) の目盛がぴったりと合わさっています。[問題終わり]

難関中学校、特に、灘中学校のような超がつくほどの難関中学校ではふつうの時計の問題は簡単すぎるため、こうやって設定を変えて時計の問題を出してきます。

私の子どもはすでに中学生ということで当事者ではないため、「この手の問題、娘にどうやって教えようかなぁ」と頭を悩ますより、「360° って 9 でも 10 でも 12 でも割れるから、いろんな問題が作れるなぁ…」とこの問題を見て感心しています。(笑)

まずはこの問題では目盛 1 つあたりの角度を出すのが基本となります。
・板の目盛:360 ÷ 10 = 36°
・円盤の目盛:360 ÷ 9 = 40°
もうひとつ。1分あたり、10秒当たりの円盤の回転角度も求めておきましょう。
・1分あたりの回転角度:360 ÷ 60 = 6°
・10秒あたりの回転角度:6 ÷ 6 = 1°
(1秒あたりの回転角度を出すのが普通ですが、今回は小数の角度がないため、10秒あたりの回転角度としました。)

板の 7 の目盛は 0 の目盛から反時計回りに 36 × 3 = 108° であり、円盤の 8 の目盛は 0 の目盛から反時計回りに 40 × 1 = 40° であるので、円盤が 108 - 40 = 68 ° 回転すれば板の 7 の目盛と 円盤の 8 の目盛がぴったりと合わさることになります。68 ÷ 6 = 11 余り 2 ということで、(ア) 11分20秒後になります。

ここから 40分40秒後ということは、52分後になります。これは両方の 0 の目盛が重なる 8分前とも言えます。ですので、円盤を時計回りに 8 × 6 = 48° 回転させたと考えてみます。

ここからは、板の 0 の目盛を基準に、時計回りに目盛がある角度を書いていくと、
・板の目盛:0, 36, 72, 108, 144, 180, 216, 252, 288, 324
・円盤の目盛:48, 88, 128, 168, 208, 248, 288, 328, 8
ということで、(イ) 板の 8 の目盛と (ウ) 円盤の 6 の目盛がぴったり合わさります。

最後の部分は、へんに計算をしようとすると手間取る可能性もあるので、せいぜい10個くらいならすべて書いても大したことないと判断しています。

ちなみに、感がいい人だと、同じ列挙(れっきょ)をするにしても、板の 3 の目盛が 108° までを求めたら、残りは 8 の目盛が 108 + 180 = 288° として他は調べません。

というのは、円盤の方の目盛が 40° ずつなので、出てくる角度の下1桁は 8 に限定される一方、板の方は上の 2 つしか下1桁が 8 にはなりません。

あとは、それぞれから 48 を引いて 40 で割り切れれば重なることになります。(108 - 48) ÷ 40 = 1.5 はだめで、 (288 - 48) ÷ 40 = 6 は割り切れたので、上記の答えが得られます。

[問題7] 下の図(原文では右の図)で,四角形 ABCD は平行四辺形です。
     (BG の長さ) : (DG の長さ) = 5 : 7
のとき,EF の長さは (   )cm です。

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[問題終わり]

この問題は相似と平行線ををひたすら使って辺 AE 上の比率を集めるだけです。

三角形 AGD と FGB が相似であるので、AG : FG = AD : FB = DG : BG = 7 : 5 が得られます。また、CF + FB = AD なので、CF : AD = 2 : 7 も得られます。

三角形 ECF と EDA が相似であるので、EF : EA = CF : DA = 2 : 7 が得られます。ということで、EF : FA = 2 : 5 とも言えます。

この中で AG : FG = 7 : 5 と EF : FA = 2 : 5 に注目すると、

EF : FG : GA = 2 : (5/12) × 5 : (7/12) × 5 = 24 : 25 : 35

が得られますが、FG = 1cm であるので、EF = (24/25)cm となります。

今回の2問は難易度(なんいど)にばらつきがあります。

問題7 については灘中学校の受験生であれば全員できるでしょう。瞬殺(しゅんさつ)したい問題です。

難関中学の受験生はもちろんのこと、そこそこのレベルの中学校の受験生でも解けそうな問題。そのくらいのレベル感です。

出題の順番としては図形問題の第1問なので、比較的簡単な問題を入れた印象があります。

それに対して問題6 は、決して難しい問題ではないものの、通常の時計の問題とは違うために、初めて目にする問題に見えるかもしれません。

ですが、普通の時計の問題では動くものが 2 つある(短針と長針)のに対して、今回の問題で動くのは円盤のみです。

ですので、正しくアプローチすれば正しく解けるはずです。灘中学校をはじめとした難関中学の受験生は解きたい問題です。

とはいえ、問題7 とは違って、問題6 は解く時間でばらつきが出るかもしれません。それが実力差ということになると思います。その意味でいい問題です。

次回は第8問からとなります。何問扱うかは難易度次第ということで。

それでは、また来週お会いしましょう!

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