雪が明け、店番。

雪が降り一晩明け、路面が凍結している中、占い館に出勤した。
皆、ヨタヨタと滑らないように歩いている。
コンビニの手前で、大人の女性が
「ひ〜!こわい こわい、こわいよぉ!」と
声に出しながら歩いていて、思わず可愛らしい人だなと思った。

他の先生たちはいつも20分の道のりを
1時間かけてきた、と言っていて
車の人たちも大変だな、と。

私は電車だったが、遅延することなく
動いていてよかった。

一人予約のお客さんがいたが、
その鑑定も終わり今はのんびり店番をしている。

店番のお供はもっぱらラジオだ。
パーソナリティの声に集中していると眠気も防げるし、
たまにクスッと笑えるお便りもある。
音は出せない環境ながらも、ワイヤレスイヤホンで
楽しんでいる状況だ。
自分のお気に入りの音楽を聴くのもいいのだけれど、
ノリノリで歌いたくなってきてしまう。
あくまでも店番中。
声を発せられないのでこれは少々厳しい。

そんなこともあって、流行りやリクエストの曲が
なんとなくかかるラジオがちょうどよかった。
今は、名前も知らない洋楽が流れている。

店内は暖房がついているものの、
心なしかいつもよりひんやりしているように感じる。
暖かいコーヒーを買いに行こうか悩みつつ、
朝コンビニの前がツルツルに凍っていたのを思い出し、
ちょっと嫌だなぁ。もうちょっと後なら、氷が溶けているかな。
そんなことを考えながらペットボトルの冷たくなった麦茶を飲む。

一応、店内にはウォーターサーバーがある。
そうだ、お湯も出るんだった、とオレンジのタブをひねってみるが
なぜかお湯が出ない。

……なぜかお湯が出ない。

今、温めているところなんだろうか。その場合は出ないのか。
紙コップがもったいないので水をそそいでデスクに戻った。
冷たい水が喉を潤した。
店内のラジカセから小鳥のさえずりの声がした。
……家のティファールが恋しい。

いつでも水が飲めてトイレに自由に行ける職場環境なのだから
贅沢なはずなんだけれど、それ以上に長く在宅ワークをしてきて
贅沢な自分がいるのだった。

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