夢洲IR予定地の地盤と用地の賃料

原告・山田明

大阪市民85人が16日、大阪市に対し、IR事業者との賃貸借契約の締結の差し止めを求めて住民監査請求した。賃料の算定を巡り、市側がIR事業の土地価格への影響を「考慮外」とするよう指示したことなどを違法だと指摘(朝日新聞17日朝刊社会面)。
この監査請求、さらに私も原告である住民訴訟にも関連するので、大阪市会都市経済委員会記録(令和4年9月20日)の井上浩委員と谷岡IR推進局推進課参事の質疑を抜粋して紹介する。

井上委員 夢洲2区、3区には、しゅんせつ土砂と建設残土が過去30年間で約1億トン投棄されております。しゅんせつ土砂は含水率が約6割と言われており、どろどろの状態ですね。これが30年にわたって投棄されてきているわけですから液状化、そして地盤沈下も当然起こってくると、こう想定しておかなければならないと考えます。
この約790億円(大阪市が公費負担を決めた金額)の中には、地盤沈下対策は含まれておりません。圧密沈下のおそれというのも、これは専門家の方々もかねがね指摘しているわけですが、同じ大阪湾の関西国際空港は地盤沈下が続いて、ジャッキアップで施設の水平を保っていると、こういう状況であります。ですので、この790億円ではとどまらないと見ておくべきだと思います。巨額の対策工事に加えて、関空のようなジャッキアップの備えの必要性も生じてくるのではないかと考えています。
実際に、カジノ事業者側も支持基盤が長期に沈下する極めてまれな地盤だと、こう言っていますよね。IR事業者もそういう認識を持っているわけであります。したがいまして、際限のない市の負担につながりかねないと申し上げておきます。
1点確認ですが、公有財産の管理の仕方としてどうなのかという点を確認しておきたいんですが、790億円の対策工事を実施すれば、その分だけ土地の価値は上昇します。市がこの土地に借地権を設定するに当たっては、上昇した価値を含めて借地料を決めるのが通常の公有財産管理の仕方でありますが、この借地料については価値の上昇分は反映させないと、反映しないと、こういうお考えでしょうか。

谷岡参事 お答えします。IR事業用地の賃料については、商業用地を前提として、土地所有者である大阪港湾局において不動産鑑定評価を行い、大阪市不動産評価審議会の審議を経て決定しています。不動産査定評価においては。土壌汚染、液状化等の影響については考慮しておらず、その前提での賃料設定となり、妥当なものであると認識しているところです。以上でございます。

井上委員 超優遇ですよね。それでいくと、幾ら費用がかかっても借地料に反映させないということ、カジノ事業者側に対策費用を減らそうというインセンティブが働かないんじゃないでしょうか。むしろ、金額が大きいほうが事業者にとっては都合がよくて、まさに事業者側の言い値になりかねないのではないでしょうか

(2023年1月19日)


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