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夢洲IR差し止め訴訟は、「格安賃料」差し止め訴訟との併合へ

不動産鑑定談合疑惑から「カジノ格安賃料差止訴訟」へ

不動産鑑定談合疑惑から「カジノ格安賃料差止訴訟」へ
この7月3日に、夢洲IR事業用地の価格評価の鑑定にあたって、大阪市と鑑定業者間でやり取りされたメールがないとされていたデータが、担当部局のハードディスクに保存されていたという報道があった。
これは、夢洲のIR事業用地の定期借地権設定契約において、その賃貸価格が不当に安く設定され、その決定過程で不正が行われていたという疑惑の証拠ともなりうる文書だった。

国土交通省が4月13日に夢洲IRカジノ計画に対して「認定」が行われたが、この文書が認定決定以前に開示されていれば、その決定を左右していたかもしれない。

この賃貸価格の不正疑惑では、価格評価額を設定するために行われた不動産鑑定において、3つの異なる業者による鑑定で、評価額がぴたりと一致していたという。いずれも更地価格「12万円/㎡」、利回り「4.3%」、月額賃料「428円/㎡」となっており、「不正な鑑定評価で賃料を安くした疑いがある」と指摘してされていた。その後も「宝くじ当選よりも低い確率」というこの不動産鑑定の談合疑惑報道は続き、年が明けた2023年1月16日、新たな定期借地権設定契約の差し止めの住民監査請求が行われた。
その後、監査請求は、委員間で「違法な点はないと」という意見と、「違法で改めて賃料を検討すべき」との意見に分かれ、合議不調となった。
これを受けて4月3日、「格安賃料でのIR用地・借地権設定契約の差止住民訴訟」として提訴されました。

この訴訟のポイントは以下の通り。

  1. 大阪市は市有地を賃貸する場合、「適正な対価」で賃貸する法的責任がある。(地方自治法237条2項)しかし、夢洲IR事業用地については「適正な対価」とは言えない。

  2. 不動産鑑定を行った各鑑定業者の鑑定結果が不自然に一致しており、鑑定結果は不当である。

  3. 不動産鑑定の前提条件について大阪市は、「IR事業を考慮外」という条件を設定して賃料価格を算定している。

夢洲IR差し止め訴訟と新たな差し止め訴訟は併合へ

さて、4月3日の新たな差し止め訴訟が行われたことで、「定期借地権設定契約の差し止め」という同じ趣旨の請求が含まれる裁判が2つ起されたことで、裁判所から併合するように指示が来た。
どちらの住民訴訟も、請求の趣旨が「賃貸借契約を締結してはならない」で共通している。もし別々の裁判を行った場合、2つの裁判でもし結論が異なるようなことが起きることを避けるため、併合する(共同訴訟参加)することになった。
4月13日に訴訟は併合され、5月30日第4回口頭弁論から、合同訴訟となった。
5月30日は、後発の「格安賃料でのIR用地・借地権設定契約の差止住民訴訟」から原告と代理人が
一人ずつ意見陳述を行い、「仮にカジノについて賛成・反対、いずれの立場に立ったとしても、大阪市民の貴重な市有地を、このような著しく訂正を書く方法によって、著しい廉価な「固定賃料」で民間の営利会社に長期間賃貸することは、決して許されない。」と訴えた。

次回裁判

次回裁判は、7月12日(水)15時から大阪地方裁判所大法廷で第5回口頭弁論が開催される。
傍聴する場合、14時20分より東門前で傍聴券の配布が行われる。


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