夢洲住民監査請求の概要

2022.6.23

1 請求内容
  大阪市が大阪IR株式会社に夢洲の土地を貸す定期借地権設定契約締結の差し止めを求める。

2 夢洲へのIR誘致の問題点
  ①基本協定書(2022年2月15日締結)
  ⅰ) 基本協定書 第13条の2(土地課題対策費の負担)
  2022年3月の大阪市会で夢洲の液状化対策、土壌改良などのために約790億円の債務負担行為が可決されたが、基本協定ではこれが大阪市の負担の上限となっていない。負担費用が約790億円を超えた場合の大阪市の免責も定められていない。
  これまで大阪市は湾岸の埋め立て地を売却、賃貸する際には、土地所有者として現状有姿を原則とし、契約不適合責任(瑕疵担保責任)を負わないのを条件としてきた。約790億円の債務負担行為、それを超える可能性があるIR誘致の基本協定は極めて異常な契約である。
  さらに、公表されている土壌汚染対策は脱法的で、約790億円の債務負担行為も積算根拠に信用性がない。令和3年1月、大阪市は北港テクノポート線建設事業でIR事業用地の1地点をボーリング調査し、土壌汚染を公表した。しかし、土壌汚染対策法に基づく「土壌汚染状況調査」を行わず、IR事業用地の土地約49万㎡すべてが汚染されているとみなして掘り返し、約360億円かけて約300万㎥の土壌を搬出するとしている。土壌汚染対策法の趣旨を潜脱するやり方であるし、約360億円というのも一般的な汚染土壌の搬出にかかる費用に比べ低額過ぎる。IR誘致のスケジュール優先で土壌汚染状況調査を省き、不当に低く見積もった対策費で市民の目を誤魔化し、問題を将来に先送りしようとしている。
 ⅱ) 基本協定書 第19条4項4号(基本協定が解除できる場合)
  区域整備計画が国に認定された日から30日を経過した日に、「IR運営事業に悪影響を与える土地に関する事象が生じておらず、生じる恐れもない」状態でなければ、大阪IR株式会社は基本協定を解除できるとされている。土地に関する事業とは、地盤沈下、液状化、土壌汚染、残土・汚泥処分などであり、第19条4項4号によれば土地所有者の大阪市の責任は青天井にならざるを得ない。
  特に、将来的に地盤沈下が生じないようにする、というのは極めて困難な作業であり、IRオープン後も継続的に大阪市が費用負担して対策を取らなくてはならない可能性もある。それがどれぐらい巨額になるか予測すらできない。

★ ⅰ)ⅱ)は地方自治法2条14項、地方財政法4条1項、地方公営企業法3条に違反しているので、住民監査請求を行った。


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