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九月の憂鬱

歯が痛いのだ。もう通院3日目なのに、良くなる気配がない。
あまりにも痛いので、『まだ、膿んでるんですか?』って、恐る恐る聞いたら、『膿んでます』って・・淡々と答えやがった、若僧歯科医め!

初回に出された抗生剤がまた3日分処方された。
これ飲むと、胃が荒れるんだよねぇ
ドラッグストアで胃薬購入。ほんの気休めだけど

独りでトボトボ帰り道。
暑くもなく寒くもなく、ちょうど良い陽気だ。
空も青い。

これ、秋晴れっていうやつ?

ふと顔をあげると街路樹のナナカマドが赤い実を実らせてる。
あ〜もう秋なんだね。
北海道の秋は短い。びっくりするほど短い。
なのに、『緊急事態宣言』が延長されてしまったから、身動きが取れないのだ。
二つほど、道内プチ旅をキャンセルしたよ。
観たかったなぁ、能取湖のサンゴ草!
撮りたかったなぁ、函館山の夜景!
でもアタシは、模範的な国民で道民だから、不要不急の旅行になんて、出かけたりしませんのことよ。オホホ。

『うわぁー!あれ何?』
少年が、アタシの方を指さした。
正確には、アタシの電動車いすを指さした。
『すごいね!動いてる!何?』
少年は、好奇心いっぱいの顔で、見たことがない新しい乗り物に興味津々だ。
で、彼の母親であろう茶髪ママは言った。
『療養中なのよ。』
はい?その説明っていったい・・・
少年は???の顔して、茶髪ママに手を引かれて去っていった。

もし、道で電動車いすの人が通り、こどもがそれに反応した時になんて答えたら正解なのだろうか。
アタシだったら、なんて答えるだろう。

その昔まだアタシが今より少し歩けてて、脚に装具をつけて電車に乗ったとき、見ず知らずのおばさんに言われた言葉を思い出す。

『あんた、片足ないの?』

あまりにもストレートな質問・・・っていうか、なんで失礼なおばちゃんなんやーーー!

まだ、いたいけな中学生だったアタシはその一言で非常に傷ついた。二度と装具で電車に乗るのは嫌だと思った。

今ならおばちゃんをギロっと睨み
『足ですか?足ならありますけど何か?』
と言ってやりたい。いや、言えんけども。

今はなんでも炎上しちゃうからね。
ヘタなこと言えないよね。

なんとなく憂鬱な九月
そして、母の命日が3日前だったことに今さら気づく
親不孝なダメダメな娘だ。

母さん、ごめん。
こんな娘だけど、見守っててね。

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