死んで一人っ子になった父②

超ド田舎で
人が1人死ぬと
町内放送で地域住民に周知される
これをまずは阻止する
これは役場でしないという
意思表示をすれば
可能であった

私達家族は家族葬をするために
隣の市の葬儀屋にお願いした
そこは私の主人が懇意にしている
方がいて事なきを得た
内密に内密にすすめた

そして
戒名は誰にお願いするか そういう
事も問題となったが
そこは葬儀社の方の紹介で
してもらうことにした

通夜は姉家族、私の家族、主人の父と姉
11名。
地域で様々な役職をし
マスコミに勤務した父の
最期がこれでいいのかと
葛藤はあった。
しかし遺言があった。
これは最後のしてあげられる事。
絶対に叶えてあげたいと心から思った。

公表してしまえば
弔問者は数百人だっただろう
それも父の気遣いだったのかもしれない

そして何より
長男として
送られたくなかったのだ
父として夫として
そして
ジィジとしてだけ
送られたかったのだ

遺言の中に
本当はこうしたかった
本当はあれもしてみたかった
と記してあった
長男として地元へ帰った時の心持ちや
長男として弟妹達からの仕打ち
産まれてみたら長男だっただけだと

この人も毒親に育てられたんだなって
気付くことが出来ました
長男が親を看る
これも既に
私からするとナンセンス
親は誰が老後を看てもいい
なんならプロにお願いするのもいい

父の最後のお願いは

長男として扱うな
でした

両親のお墓にも入れずに
一人っ子になった父は
別の地域へと連れ出して
眠りにつきました

葬儀後5日間
ホテルを転々としました
地域の人が押し掛けるのが嫌だから

だけど
5日後家に帰ると
地域の人が聞きつけてやって来ました

なぜ
どこから漏れたか

病院です
地域の勤務者が
守秘義務も無視して
漏らしてました

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