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気持ちがみみっちいと居酒屋は流行らない

よく歩く町の一角に、以前は見かけなかったネオンを発見したのです。カラオケスナックのようでした。通りがかりにチラ見した限りでは民家を改造したような趣です。

こういうのを見つけるとちょっと気になるのです。行きつけの居酒屋さんでその話をしたら、どうやら年配の女性--事実上お婆ちゃん--が頑張って始めたカラオケスナックということでした。

あんなところで新規にカラオケやって商売になるのか。まず思ったことはそれでした。民家を改造するにもそれなりに資金が要ったろう、お婆ちゃんと言ったら申し訳ないから年配のママさんと言って置きますが、これはちょっとしんどいのではないか。そう思ったらちょっとだけ様子を見たくなったのでした。

夕方に家を出て、その辺りではもう真っ暗。ピンクの粗末な看板にネオンが光っていました。名前はここでは言いませんが、どこから持ってきたのかちょっとややこしい。

恐るおそるドアを開けてみると、まごうことなき年配のママちゃん。無理めの化粧がいささかしんどい。でも商売ならしょうがないかも。ここまできたら私にはむしろスッピンが良い。

驚くことに、カラオケにはあまり見ないホッピーがあるのでした。それを聞いて私は欣喜雀躍。ホッピーのある所では酒代が嵩むことはない--。

と思ったのですがちょっと期待外れ。普通ホッピー割りは出した瓶はそのまま客のものなのです。俗に中と外でいう外の部分。これはだから、客が自由にアルコールの濃度を調整しながら飲むのです。

以前に書いた池袋の居酒屋--ふくろ--では中も外も瓶ごと一本まるまるで出ます。だからセット一回分で普通はホッピー割りを二杯作れる。だからあまり酒代が嵩まない。そうでないところでも、ホッピーは瓶ごとまるまる出してくれるのが普通です。でもこのスナック、一杯作ったら半分残った瓶を下げてしまうのです。これはビックリ。ホッピー飲みからすればこの流儀はありません。きっと、あと一杯頼んだら残りの分で作るのでしょう。

これはちょっとみみっちい。しょうがないから今度はビールを頼んで、しかしお品書きがないのでいくらか知れない。食べるものも種類がないので同じものばかりを何度か頼んで、帰りには、うーん、あまり安くはない。カラオケスナックは家で腹ごしらえして行くものですかね。食べると高い。基本乾き物しかないからしょうがないか。

でもいいのだけど、店の気持ちがみみっちいと客は入らない。なんだかやっぱり景気が悪そうにしか見えない。この店では盛り上がらないだろうなって感じでした。

どうもね、流行らない居酒屋さんを何軒か知ってますが、その理由は概ね二つだと思います。安いのに流行らないのは亭主かママさんに問題がある。政治の話をしたがる亭主はしんどい。酒をねだるママさんもあるが、やっぱり入らない。そんな店はぼったくり値段でなくても酒代が倍かかる。

もう一つは店の雰囲気や出て来るものがしみったれていて長居する気に慣れない。今回の店はその類ですね。大雑把で面白いママさんの方がいい。負けとくからまた来てねタイプの方が絶対に流行る。

という私が商売しても、多分全然だめでしょうがね。やっぱり畑があるのでして。

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