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ペクトラジ 第五部 「いじめ」

剛は成長し、やがて小学校に行くことになる。

事件に近い問題はその時生じた。

金一は家庭内では大分弁を使う一方、明子は博多弁である。
九州弁とはいえ、地方によりイントネーションの違いがある。
剛は家庭内では大分弁と博多弁しか使えない。
外で遊 ぶときは、山口弁というよりは「下関弁」であるが、あまり外で遊ぶことはない。
金一はスポーツ万能だが、どうも剛はその名
に似つかわしくなく、全くの運動音痴である。 
小学校に通うと、教師やまわりの子は下関弁で、意味があまりわからない。
 しかも運動音痴ときているから、体育だけでなく、学級仲間の遊びにも仲間に加われない。
身体もどちらかというと虚弱体質に近く、これだけ条件が揃うと
「いじめの対象」となる。

学級仲間からはいじめられ泣きながら学校を途中で抜け出し、
ついには登校拒否をおこしてしまうのである。

登校拒否という言葉は当時存在しないと思われるのだが、
たぶん剛は登校拒否児のはしりであったであろう。

家に帰っては明子に叱られるので 練兵場で隠れている時が多くなるのだが、ついに明子の耳にはいることとなった。

それからは、母親付添いで先生に謝りながら小学校に通うこととなる。
剛は極度の対人恐怖症に陥り、学校から帰っても近所の子と遊ぶことも無く、事務所のまわりをうろつきはじめた。


冒頭の写真は、作者が入学祝に撮影されたようだが
はっきりとはしない。
後ろの景色が練兵場のようである。

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