「鬼滅ヒットの理由」で忘れてはいけない、“紅白歌合戦”という存在

今や一種の社会現象となっている『鬼滅の刃』。

ご存じの通り、「鬼滅 ヒットの理由」などで調べるとたくさんの記事が出てくる。
映像、ストーリー、キャラクターなどいろいろな指摘も上がっているし、何やかんやで環境や運に集約しているものもあれば、「結局わからない」とまとめているものもある。

しかしそんななか、1つ気になっていることがある。
LiSAの紅白出場について言及している記事をなかなか見かけないのだ。

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これはあくまで私の体感だけれど、鬼滅が今のような爆発的ヒットに至るまでには4段階あったように思う。

第1段階:アニメ第19話『ヒノカミ』放送後(2019年8月)

言わずと知れた、バトルシーン。あまりの作画の凄さに、しばらくTwitterがざわついていたような。
でも放送時はまだ「アニメ好きの間で超話題」くらいの反響だったと思う。少なくとも私はまだ、翌日オタク仲間と感想を交換した程度だった。
10月にはイベント『鬼滅の宴』が開催されて、私は運よくチケットを手に入れることができたのだが、やっぱりオタク仲間に対してだけ自慢をした記憶がある。11月に書いた紅白アニメ枠予想の記事を見返しても「LiSAが紅白に出たらいいなぁ~」程度の祈りのような書き方だから、信じられないことに秋頃までは人気はまだまだだったのだ。

第2段階:LiSA紅白出場(2019年末)

そんななかターニングポイントになったのが、年末年始だ。
LiSAが紅白に初出場し、バックにアニメ映像が流れ、知名度が一気にお茶の間レベルに広がった。
しかもうまいことに、LiSAは2019年10月に「紅蓮華」を含めてストリーミング解禁済み。アニメもAmazonやNetflixなどの動画配信サービスで当然のように配信されていて、大プッシュされていた(確か)。
年明けになってから、アニメ好き以外の人からも「鬼滅全話見たよ!」と報告されるようになって割とびっくりした。

第3段階:漫画完結(2020年5月)

ここからは、鬼滅の強運も重なってくる。
ジャンプで最終回を迎えたのが、2020年5月18日。コロナ禍の真っただ中でちょっとした外出も憚られる中、日本中が家で楽しめる娯楽を探していた。そんなタイミングで、物語がクライマックスを迎えたわけだ。月曜日0:00はジャンプBOOKストアがなかなか繋がらなくて、結局朝になってから読んでいたのが懐かしい。

第4段階:映画公開(2020年10月)

これも強運だろう。
この頃コロナが若干落ち着いて映画館の換気についても立証され(少なくとも映画館側の主張としては)、1席空けなくとも隣同士で座れるようになった。しかも海外映画の公開がストップしていたため、大量のスクリーン数を確保することができて、現在進行形で記録的な興行収入に至っている。

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これらを踏まえたうえでもう一度言うと。

私の肌感覚では、思わぬ人から「鬼滅見たよ!」と声を掛けられるようになったのは、圧倒的に2020年の年明けからだ。
動画配信サービスでアニメがガンガン配信されるようになった現在、“きっかけ”さえあれば誰でも動画を気軽に見る。
家族層まで広く興味をもつきっかけを与えてくれる紅白という存在は、取っつきにくい印象のある深夜アニメにとってとてもとても大切なのだ。

だから私は、声を大きくしてNHKさんに伝えたいのだ。

紅白のアニメ枠をたくさん設けてください!

そして是非2020年紅白に、ヴァイオレット・エヴァーガーデン主題歌をご検討ください!

鬼滅が証明したことは、「アニメ好きの間でだけ流行っている深夜アニメも、実は老若男女に幅広く受け入れられるポテンシャルを充分持っている」ということなのだと思う。
そして昔ほどは視聴率は高くないとはいえど、やっぱり紅白はお茶の間レベルにまでコンテンツの知名度を高めてくれる大きな存在なのだ。

だからこそ、鬼滅で最後にしてほしくない
たぶん鬼滅ブームも、数年後には今よりは落ち着いてしまうと思うし。
第3、4段階のコロナ関連は完全なる運だが、第2段階の紅白出場と動画・音楽配信はピュアにマーケティングであり、次なるコンテンツにも絶対に活かせる。

特に今年期待したいのが、『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』主題歌のTRUEさんだ。

もちろん、他にも可能性のあるアニソンはたくさんある。
今年『かぐや様』2期が放送された鈴木雅之、記念なる9周年を迎えたラブライブ、去年出場しなかったことが一種のサプライズのようなヒプマイ、今大ヒットの予感がある『呪術廻戦』のEveくん……。

でも、中でも『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』という名作は、このまま過去の作品にしてほしくない。
もっともっと幅広い人たちにこの感動を味わってほしい。
劇場版の興行収入も16億円を超え(2020年10月29日時点)、鬼滅の陰に若干隠れてしまってはいるものの実は大ヒットを記録している。
充分、充分、紅白に値する。

2020年はLiSA『炎』でアニメ枠が1枠確定しているようなものだが、他にもたくさんアニソンを扱ってほしい。
NHKさん、どうか今年も奇跡のきっかけをください!

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