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【推し and the City】リアルにおもしれー女

「未婚の女性はみんな素敵なのにさ、未婚の男性にロクなのがいないんだよね。」

というのは、周囲の友人たちから“だからあなたに紹介できる男性がいない”という言い訳をされるときに必ず言われるセリフである。

確かに30代独身女性は美容に投資しがちなので、見た目はある程度洗練されているケースが多い。
とはいえ友人たちの言葉は多かれ少なかれ優しい噓であり、やはり女性側にもそれなりの理由はある。

仕事が忙しい?
推し事が忙しい?
友達が多い?

いやいや。

先日久々の合コンで「もう1人女性を連れてきてほしい」と言われた際に改めて実感したのは、独身女性における「KY(死語)」と「コミュ障」率の圧倒的高さである。
いい子だけど稀に場の地雷を踏んでしまう人、いい子だけど初対面の男性の前だと「アッ…アッ…」とちいかわ化してしまう人など、合コン要因として即決できる人が全然いない。
悩みに悩んだ末、地雷を踏む率が比較的低いKYに声を掛けた。

それでは、私が独身である理由ないし私が結婚できていない理由は何なのだろうか?
真剣な自己分析を重ねた結果、「リアルにおもしれー女」であるせいだという結論に落ち着いた。

「おもしれー女」とはご存知の通り、少女漫画でバチクソイケメンから放たれるとされる言葉である。
だが実際に女主人公がおもしれー女であることは稀である。
最終巻の「See you again」と書かれたラストページで(あいにくそんなにagainする機会はないのだが)、10年後も変わらない男の隣で赤ちゃんを抱きかかえている女がリアルにおもしれーわけがない。
絶対にもっと人脈を広げたほうがいい。

一方で私はリアルにおもしれー女である。
多方面のオタク活動に勤しむ傍ら、noteを書き、曲を作り、最近では絵まで描き始めている。
我ながら狂っている。

少女漫画の世界ではモテの前提条件とされるおもしれー女だが、あいにく現実世界では特にモテはしない。
先日「推しの子」を見ていたら、「芸能界では面白い女は男性側の対抗心を煽りやすいので清楚系を演じたりする(意訳)」的な解説をしていた。
対抗心なのかどうかは分からないが、まぁときに男性を圧倒してしまうことは確かだろう。

そもそも少女漫画と現実世界の一番の違いは、バチクソイケメンが主人公(私)の面白さに「気づいてくれる」かどうかにある。
少女漫画でよくある展開として、バチクソイケメンのファンクラブを運営する3年生の先輩たちから「ちょっと仲良いからって調子乗ってんじゃねーよ」などと主人公が呼び出され、主人公が負けじと「それは◯◯くんのことをちゃんと理解していない!」などと言い返し、それを近くの校舎の2階から見ていたバチクソイケメンが「おもしれー女」と呟く、というシーンがある。
それが本当におもしれーのかどうかはさておき、現実世界では残念ながらどんなに私が1人でおもしれーとされる言動に走っても「2階から見てくれている」人は誰もいない。
ブサイクでも全然構わないから、せめて見ていてくれる人がいればいいのだが。

さらに言えば、上記主人公の言動から見るに「おもしれー女」とはつまり「普通の価値観を周りに流されずに主張できる女」のようである。
略して「普通の女」である。
リアルにおもしれー女ではまったくない。

やはりモテるためには、空気が読めてコミュ力の高い普通の女になるしかないのかもしれない。
今のリアルにおもしれー生活を手放さなければならないとすれば、何とも悲しい話である。
とりあえず、あわよくばバチクソイケメンが2階から私の真の面白さを見つけてくれることを祈って、毎日しっかり上を向いて歩こうと思う。

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