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昇格へ、その先へ

念願のB1昇格を決めて幕を閉じた越谷アルファーズの23-24シーズン。
振り返ると苦しいことのほうが多かった。

信頼をおくまっちーを呼び寄せ、再びHCとなった竜三さん、
その竜三さんのもとで成長したい、そう口にして集まってくれた選手とともに、
プレでは横浜BCに勝利をおさめ、勝率7割5分の前季を上回る輝かしいシーズンがはじまったはずだった。

現実はそううまくはいかないもので、
何度も接戦を落とし、大逆転負けを喫し、負傷離脱が相次ぎメンバーは揃わず
このままではまずい、そんな空気がずっとつきまとっていた。
現地観戦の7割ほどを占めたベンチ裏から
沈む控えメンバー、いらつく背中、ロッカーへ戻るときの悔しさすら通りすぎてしまったような表情をみつめ続けた。

チームの変革のために古巣へ戻ったHCは、その役割ゆえ、変化をきらう人たちの反発の的になった。
昨季からたびたび投げつけられていた暴言、それにカッとなったまっちーを制した日。
こらえきれずに反応してしまったことがあったとも、観客の声でベンテクになったらしいとも聞いた。
ファンの前に立つ機会を極力避けているように思えるセレモニー。
そしてクラブから発せられた注意。


昨季にくらべ極端に減ってしまったファンサの機会、それはもしかしたら
やらなかったのではなく、やれなかったのではないか。
どんなふうに、誰を、傷つけようとしてくるかわからないから。
そんなことまで思った。


勝てば官軍。
価値を認めさせるためにはわかりやすい結果を残すしかないのだと、祈るような気持ちで行く末を見守っていた。
それは純粋にチームの成功のためではない、邪な動機だったかもしれないけれど
愛着のわいた選手たちと大切なコーチ陣のしあわせを願っていた。

とはいえ終盤になっても苦戦を続けるチームの様子に、今年もむずかしいのだろうな…と諦めに似た気持ちのほうが大きかった。


昨季と同じ地区2位で臨んだプレイオフ。
チームの雰囲気は、必死さというより、よい緊張感のなかでリラックスしているように感じた。
たのしくてたのしいまま、連日の快勝。
それは、悲壮な覚悟で挑んだ20-21を経て終始わくわくしていた21-22のブレックスと重なって、
またこの感覚を味わうことができる日がきたことがただただうれしかった。

昇格のかかった対戦相手は、56勝4敗という脅威の成績を叩きだしたA千葉。
チータラを食べ、金色の靴をはいて、完全アウェイな大音量の演出に負けぬよう、声をからした。
選手スタッフ、そしてファンも一緒に、何度も何度もタイムアウト明けの円陣を組んだ。
リードをとかして延長にもちこまれた1戦目、数々の敗戦が頭をよぎった。
それでも土壇場で集中力を増したチームは、綻ぶことなく勝ちをつかみとった。
2戦目の最終盤、トモヤのスリーで8点までひろげたリードをひっくり返され、リードチェンジを繰り返す中でとらせたタイムアウト。

これまでさんざん取りこぼしてきた、勝負弱いアルファーズの姿はそこにはなかった。

翌週の決勝までのあいだ、悲願を成し遂げた彼らはどこか気が抜けてしまっていたけれど、
それでも両日とも接戦を繰り広げ、さいごのさいごまでファンをたのしませてくれた。
どのチームよりも長く、さいこうのかたちで試合をみられたことに、満ち足りた気持ちのほうが大きかった。


昇格記念パレード。
雨予報とはうらはらに薄日さえ差すなか、柔らかい笑顔で声援に応える貴重な姿に、よろこびをかみしめた。
到着した途端の豪雨は、プレイオフを通してなにか大きな力に後押しされていたような不思議な気持ちになった。


そして訪れたオフシーズン。
粛々と、着実に、選手が入れ替わりあたらしいチームになっていく。
昇格こそ果たしたものの、今季のアルファーズは、B2であまり勝ちきれないチームだった。
B1でも勝っていけるチームになるために、昇格すら何度も跳ね返されてきたメンバーのままでいられないのは当然のこと。
(優劣ではなく、チームの方針や戦術へ合う合わないの問題なので誤解なきよう)
愛着や情、貢献、歴史…そんなことはよくわかっている、
そのうえでアルファーズは、プロクラブとして、シビアでも変わっていく道を選んだ。
そのために竜三さんは呼ばれたのだろうし、
わたしは大きな流れに身を任せて、どんな景色がみられるのかわくわくしている。

ドラスティックな改革をしたところで、簡単に結果がついてくるとは限らない。
むしろこれからも悔しく苦しい思いをたくさんすることは想像に難くない。
それでも、まずは「カルチャーをつくる」という戦績以上に大切なことを掲げて、
あたらしいチームのB1への挑戦を全力でたのしんで後押ししたいと思う。

願わくば、開幕までにさいこうの準備をして、いきなりこんな指示を出されずに済みますように。


アルファーズへたくさんのありがとうをこめて。
誰が欠けてもきっとこの結果は得られなかった。
苦しくてうれしくて、忘れられないシーズンになりました!


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