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物語の終わりに

 この物語を書くずっと前に私は、『×××』という物語を書いた。
 傷ついていた私が、傷ついた中で出来たのは物語を書く事。

 それが何になるのかと言われても分からないが、私には『書く事』しかなかった。

 書いて、傷をえぐって、少し離れて見つめて。
 そうして、書き直したものが『×バツ×』だった。

 えぐれた傷はちゃんと『傷がここにある』と私に伝えてくれる。
 鈍感な私はこうやって、文章にしてちゃんと『傷』と認識しなければ傷がある事が分からなくなる。

『トオツキ&トウツキ』も、傷の再確認のために書き始めた。

 そして『×××』と同じように、一度書いたモノを書き直して仕上げた。
 特に『トウツキ』の部分は一度目に書いたときは、まだ傷があちこちに残っていた。

 書き直して、『トオツキ』に『逃つ機』の章を入れて、『トウツキ』に『訪つ奇』を追加した。

 最初は学生時代と社会人時代で分けるつもりだった。でも、それはいびつだなと思って『トオツキ』と『トウツキ』の境はどこにあるのかを考えなおした。

『トオツキ』は時間で区切られた子供時代の物語。
『トウツキ』は人間で区切られた大人時代の物語。

 物語を紡ぐ事でしか、呪いは解けない。
 これが、私の呪いの解き方。

 時間はまだ続いている。
 この先は『物語で区切られた物語時代』にしたい。

 これが『物語』であるのは、会長様愛しの君の言葉から
「他人の人生は、他人の物語でしかないんだよ」

 私の人生は、他人にとっては『物語』
 それでいい。

 出会えた全ての人に感謝を込めて。

 トオツキ&トウツキはこれで、終わりです。
 ここまで、読んでくださってありがとうございました。


 



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