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最終話 私と呪文

 最初の魔女は、保育園の先生だった。
 彼女は私を人形にした。

「そんなんじゃ、おひな様になってしまうよ」

 私は呪いを信じた。
 自分はしゃべらず、動かない人形なのだと思っていた。

 次の魔法使いは、小学校の先生だった。
 先生は私を花にした。

「いつか、大輪の花になるでしょう」

 私は呪いを信じた。
 いつか花になるのだと思っていた。

 三番目の魔法使いは、高校の先生だった。
 先生は私を殺した。

「そんなんじゃ、生きていけないぞ」

 私は呪いを信じた。
 生きることには意味がないと思っていた。

 四番目の魔女は、大好きな人だった。
 彼女は私に愛を教えた。

「君は私を愛しているんだよ」

 私は彼女を信じた。
 私にも人が愛せるのだと知った。

 五番目の魔女は、魔女だった。
 彼女は私に向こう側の世界を教えた。

「今、女の子が行った。そこ、走って向こうに行った」

 私は彼女を信じた。
 私が見てきた向こう側の世界は、本当にあるのだと知った。

 5人の魔法使いと魔女のお話が終わったので、この物語はここで終わりなのです。
 これが30歳ぐらいまでの私の話。

 でもこれで終わると、スピリチュアルな世界に浸っている話になりそうなので、この先を少しだけ。
 幽霊は私には視えませんが、『視える人』手を握ってもらった後は気持ちが軽くなった気がしたのです。
 その後に実家に戻る決断をして、宇宙講座の後半は実家から東京に行くというハードなスケジュールとなったのです。

 その講座が終わった後は、講座も資格取得も全てやめました。
 畑を耕し、野菜を作っていた時期もありましたが、それも今はやめています。

 今は本を読んで、お絵かきをして、小説を書くというのんびりとした生活なので、『物語になる人生』というようなものはありません。

 もう、誰も私に呪文をかけません。

 だから、この物語は終わるのです。


 



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