見出し画像

親方衆と行ったソウル旅行での経験談!【後編】

昨日の続きの話だ。
ソウルで思わぬ展開になっていた。
南大門の屋台で韓国人男性の友人とその彼女、そしてその友達と酒を飲んでいた。
寝る所が決まらないまま夜は更けていった。


ホテルが決まらないまま運を天に任せた

私の心配をよそに他の3人は笑いながら上機嫌だった。
晩酌の習慣がない私も少し飲み過ぎた。
仁寺洞の焼肉屋では韓国の気の抜けたようなビールしか飲んでないが、ここに来てからはソジュ(焼酎)をストレートで飲んでいる。

友人も私の宿のことなどとっくに忘れたと言わんばかりに上機嫌だった。
時間はあっという間に過ぎて行った。
3人は韓国語で何か相談していたようだが私には分からなかった。

友人の彼女が外に出たのでトイレにでも行ったのだろうと思っていると「パッリパッリ」と言いながら戻ってきた。
友人が慌てて屋台の料金を支払った。
私が払うと言うと「ケンチャナヨ」と言って受け取らなかった。

友人の彼女が大通りでタクシーを待たせていたのだ。
友人が助手席のドアを開け私にとにかく乗ってくれと言った。
私は小さめのトロリーバックを抱えて助手席に乗り、後の3人は後部席に乗り込んだ。

見知らぬアパートで過ごす夜

タクシーは南山(ナムサン)の下のトンネルを抜け梨泰院(いてうぉん)に向かった。
これは今だから分かることで、当時は梨泰院という場所も初めてだった。
タクシーを降り彼女たちが住んでいるアパートに来たようだった。

日本のアパートとは違い広くて快適そうな空間はマンションのイメージだった。
玄関を入ると広い部屋がありその周りにいくつかのドアが目に入った。
床暖で部屋は暖かく上着も必要ないくらいだ。

友人の彼女がチョンセというシステムで借りているアパートだということだ。
高額な保証金をオーナーに預ければ借りることができ、家賃はいらないと教えてくれた。
オーナーはその保証金を運用して稼ぐのだそうだ。
そして退出する時に保証金は全額返ってくるようだ。

友人の彼女が冷蔵庫から缶ビールを持ってきてくれた。
友人は遠慮せずに飲んで下さいと言った。
そこに彼女の友人が何やら腸詰を切ったような料理を運んできた。
アパートの前の食堂で買って、いつもビールのあてに食べていると説明してくれた。
この時初めて食べたスンデという料理だった。

どう考えてもホテルを予約できるような時間ではなくなっていた。
聞くタイミングを逃していたが、このことに触れようとしなかった友人にやっと聞いてみた。
「今日はどこで寝たらいい?」

友人も気にはなっていたらしく申し訳なさそうに「ここではだめですか?」と言った。

知らないところで目覚めた朝

深夜まで飲んでそのままそこで寝た。
何時に寝たのかも覚えていない。
目が覚めると外は明るかった。

オンドルのお蔭で寒くはなく気持ちよく眠れたようだ。
誰か分からないが毛布を掛けてくれたようだ。
同じ部屋で友人も寝ていた。

L 字型になったLDKのリビングで寝たようだ。
壁付けキッチンの横に小さめの手洗いが備え付けられていたので、取りあえずそこで洗面をした。
その洗面の上には小さな縦長の窓があり、シェードのブラインドが締めてあった。

開けてみるとその窓は透明ガラスで外の様子を見ることができた。
曇ったガラスを拭くと、そこには韓国ではないような光景が広がっていた。
外に見える建物の壁はほとんどがレンガ造りで、まるでヨーロッパにでもいるような錯覚に捕らわれた。

建物の隙間からは朝日に照らされた赤いレンガの町並みが広がっていた。
私の住む田舎町では絶対見ることができないような風景だった。

少しの間、何かを考えることもなく眺めていたが急に我に返った。
バックから電話を探し、親方たちが泊まっているホテルに電話をした。
大工の棟梁の部屋に繋いでもらうと、棟梁も起きてシャワーをした後だったようだ。

私は簡単に事情を話し、今日の予定を相談しようとした。
すると棟梁は、昨夜模範タクシーの運転手から名刺を貰っているから今日の観光もお願いしようと思うと言った。

私にとっても都合が良かった。
その運転手の携帯電話も分かっているから途中で合流することができるからだ。

4人で来たソウルで自由なひとり旅

小さな声で電話をしたつもりだったが友人も目を覚ました。
友人が風呂に行かないかという誘いに乗ることにした。

女性たちには何も言わずアパートを出た。
その方が返って良かったのだろうと思われた。

私はまた荷物を持ってタクシーに乗った。
友人が連れて行ってくれたのが、コロナ時期に閉店してしまったソウル駅近くのシロアムサウナだ。

シャワーを浴び、汗蒸幕にも入った。
その後で食べた冷麺は格段に美味かった。
友人は冷麺を食べた後帰っていったが、私は昼までそこで寝ることにした。
シロアムサウナを出てタクシーに乗り、友人が書いてくれたメモを運転手に見せた。

ホテルはチェックインの時間になっていなかったが荷物は預かってくれた。
これからどうしようかと考えたが、棟梁たちと合流するのは夕食時にした。
ひとりで過ごす時間を大切にしたかったからだ。
荷物を預けて身軽になったから地下鉄で江南(カンナム)の狎鴎亭(アックジョン)に行くことにした。

カロスギルでコーヒーでも飲んで時間を潰すことにした。
親方衆の3人を接待するつもりでいた旅行だったが、結果的に気ままな一人旅のようになった。


棟梁たちを案内してくれている模範タクシーの運転手に電話をすると、夕食は江南で韓定食を予定していると言うのでこの辺りで夜まで時間を潰すことにした。

夕食時に色々聞かれるだろうと思っていたが、棟梁たちは自分たちの話で盛り上がった。
昼に食べたのは亀の肉と聞こえたが実際は何の肉だったかといったことだ。
この人たちもいい旅行になったようで安心した。

たいしてお世話もできないまま終わった旅行だったが、日本に帰ってからも会うたびに楽しい旅行ができたのはあなたのお蔭だと何度もお礼を言って頂いた。

外国で電車に乗ったり初めての料理を食べたこと、射撃体験や垢すりなど田舎ではできない多くの経験が満足度に繋がったようだ。

私も友人のお蔭でいい経験ができた旅行だった。

#ソウル旅行 #旅の経験 #韓国旅行 #旅行の思い出 #旅行の幹事

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?