【嘘】編み物

ほつれた毛糸をひっぱると、ぱらぱらぱらと、世界が一気にほどけてしまった。
奥には編み棒を持った先生がいて、にっこりと微笑みかけてくれた。
僕は泣きながら毛糸を両手に持ち、先生のもとに駆け寄った。

また編みますよ、と言う先生は、以前と少しも変わらずに、頭を撫でてくれた。

ありがとう