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夢の中と外の不条理

目の前の時計の針を追いかけても、どんなに追いかけても追いつけないのは、過去に戻れない事を意味するのか、はたまた未来を認知出来ない事の証明なのか。夢の中で白兎が大変慌てて時間に追われ、それでもティーパーティーは滞りなく進み、不条理な秩序は保たれる。しかし、目覚めても独楽が回り続けるのは、目覚めが必ずしも夢の外の現象とは限らないからで、不条理な秩序は階層を担保しない。マトリョーシカでフラクタルな世界は夢の中で自由にワープが可能なため、前触れ無くここに戻される。つまり、その瞬間のみ秩序が存在しないのだ。速度は光速を超え、時間すら無視されるため、針の無い数字のみが貼りついた円盤を頼る事になる。その刹那の無謀な冒険は、記憶にも残らず存在を認められず、それでも毎夜繰り返される。そうして目覚めたここもまた、夢の外かはわからず、不条理な秩序が再開される。相変わらず白兎は慌てているし、ネズミは寝ている。そして、時計の針は目の前だ。走れ。走れ。走れ。外で何が起きているかなんて気にせず、考えず、世界の不条理な秩序に身を任せ、なんでもない日を祝え。そこが例え夢の外でも構うものか。どうせ時計の針には追い付けず、抗えないのだ、走って、そして、疲れたら眠れ。

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