【嘘】縁の下の爪楊枝

小学生の頃、「係」という制度により、様々な雑務を手分けした。委員会のような大仰なものではなく、あくまでクラス内の雑用だ。
掲示係、飼育係、清掃係などは分かりやすい役職だったが、「爪楊枝係」というおかしな係もあった。

小学四年でその係を担い、言われるがまま、校舎のきわに毎日一本ずつ爪楊枝を刺して埋めた。一度サボってしまった時は、先生にこっぴどく怒られた。
「お前のせいで校舎が少し傾いたんだぞ」、と。
当時は体罰など当然で、俺は何度も頭をガコガコ叩かれた。

自分がサボった癖に、叩かれたことに腹を立てた俺は翌日、15本もの爪楊枝を刺し込んだ。いたずらのつもりだったんだけども、それ以来校舎はずっと傾いてしまい、チョークがコロンコロンと転がる学校になってしまった。

教科書もノートも、コロンコロン。
生徒も先生も、コロンコロン。
算数も国語も、コロンコロン。

些細な仕事でも、コツコツ真面目に責務を果たさないといけないんだと、爪楊枝に学んだ。

ありがとう