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嘘にまみれる毎日

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毎日一つ嘘をつきます。誰も傷つけない嘘を。
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2018年11月の記事一覧

【嘘】ジレンマ

照る照る坊主が雨雲を好きになってしまったようで、己の任務と恋心との板挟みに苦しんでいた。

ロケットに照る照る坊主を乗せたのは、そういう理由です。
上から見る晴れた空の雨雲は、どんな顔してるかな。

【嘘】サクッと軽やか

ウエハースの上でスキップをするとチョコが甘くなる。

【嘘】隠れた努力

手品に必須な能力は、左手小指の筋力である。
マジシャンは喋りながら、そしてカードを保持しながら、見えないように左手小指で操作をしている。
目線で注意を逸らし、右手がカードに触れる瞬間、左手小指がカードを入れ替える。
故にマジシャンになるには、左手小指の筋力を鍛えなければならない。

ギタリストはハンマリングとプリングという技法により左手で鳴らす。
その音を粒をはっきりとされるには、左手小指の筋力が

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【嘘】ラーメン食べたら珈琲を飲む

注文したのはラーメン餃子セットだったのに、店員が運んできたのは、紺色の長靴と汚れた軍手だった。
何かの間違いかと店員を見たが、すぐに「食後の珈琲はお持ちしても良いですか」と聞くので、もう夕御飯は食べ終わってたみたいだ。

珈琲は雑巾だった。

【嘘】個の終焉

境目が溶け始めている。まもなく世界は一つになっていく。

そんなことを偉そう学者達は言うけれど、俺からしたら、机がベタついたり、歩くとペッタンペッタン音がなる、その程度の出来事だ。

ああ、喉が乾く。

【嘘】夜空のライオン

街の外れの山に住むライオンは、夜になると空を飛び回る。
その姿は勇敢そのもので、人々の不安を吹き飛ばしていた。
ある日、夜になってもライオンは姿を見せず、人々は不安で眠れなかった。

星の並びにライオンを見つけた子供がようやく眠ると、夢の中で穏やかに眠っていた。

【嘘】オレンジジュース

ストローを覗いて窓の外を眺めてみる。
細く長い先に見る景色は、なぜだかいつもより和やかに見える。

満足してオレンジジュースを飲み始めて気がついた。
さっきもストローは曲げていた。

あの景色は、ストローの中の世界だったみたいだ。

【嘘】あんこ

「遠く」はどこまでも遠く。
其処では距離の概念は無く、閉じている。
大きな宇宙は遠くで閉じ、つまりはどら焼きの形になっている。
我々が世界と呼ぶ此処は、あんこである。

粒あんこだと良いな、なんて言うと、こしあん派に怒られるかな。

【嘘】生活の知恵

レモンの皮の簡単な剥き方を教わった。
使うのは身近にある以外な物だった。

用意するのはシンプルなマンデルブロ集合。

フラクタルの渦にレモンも皮を引っ掛けると、クルクルと剥ける。

https://youtu.be/Ujvy-DEA-UM

【嘘】日直の仕事

黒板消しで擦っても消えない。
それどころか薄く色がつく。
こうして黒板消しが真っ白なことに気付く。
なので窓の外に手を伸ばしパンパンとはたく。
そしたら綺麗になった黒板消しでもう一度擦る。

文字も黒板も空間も世界も、
過去も記憶も願いも夢も、

消えてしまえ。

【嘘】目は語る

久々に空に大きな目を見た。
目があうと、少し悲しそうに瞬きをしていた。
去り際には涙ぐんでいたので、明日は雨が降る。

【嘘】ストリートパフォーマンス

信号機の三つの光を手にとりジャグリングを披露したら、渋滞になった。

【嘘】輪

昔、フラフープを世に広めた人がいた。
彼はフラフープを愛し、四六時中フラフープをしていた。
どうやったらより多くの人に見てもらえるかを考えに考えて、そして、宇宙に行った。

土星さん。皆、見てますよ。

【嘘】ブラックオパール

眠れないので、黒糖飴が何故こんなにも甘くて美味しいのかを考えていた。
気付いたら、小さな小さな星に座っていた。
そこは宇宙に浮かぶ黒糖飴で、輝く星々を反射し様々な色を放っていた。

何故こんなにも甘くて美味しいのか、わかった気がする。