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なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?その12

衣装部さんにも男役と娘役があるって本当?

衣装部さんは、舞台の楽屋に入って衣装を着せたり、衣装の直しをするチームと次の公演の衣装を制作するチームが交代制で構成されています。
その中で主に制作のときは男役の衣装、娘役の衣装と担当が分かれています。

桁外れの豪華さを支える衣装部

すべての人がきっちり分かれているとは限りませんが、ベテランの衣装部さんは分かれていました。
私が娘役に変わってからよくお世話をしてくれていた衣装部さんは、もちろん娘役担当で、よく「娘役の衣装はふわ~と綺麗で豪華で大好き」といっていました。やはり好みがあったのでしょうね。

男役と娘役の衣装では、作り方も全く違うそうです。
自分が「大好き」と思えるものを手掛け、専門技術を習得して、より質が高い衣装が仕上がっていくのでしょう。

宝塚の衣装の豪華さは桁外れです。
飾りをつけるのも相当大変ですし、キラキラ光るスパンコールや石も、一つ一つ手でつけていくことが多いのです。
特に『ベルサイユのばら』のようなコスチューム物になると大きさも半端ではありません。
ドレスの裾につけるフリルも何十メートルの長さになります。
ですから一つのドレスの回りを囲むように何人かで同時に仕上げていくという光景を何度も見ました。

また男役の衣装が大好きな衣装部さんは、とにかく格好良い衣装を作って、ステキに着こなしてもらいたいという気持ちが根本にあるのでしょう。
男役の命であるパンツのラインや、ちょっとした飾りのつけ方によってスタイルがよく見えたり悪く見えたりするので、その何ミリかを真剣に見て直してくれるのです。

このように裏で働いてくれている人の努力が舞台をより美しくしていくのです。

「なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?」桐生のぼる著書より 
                                 
                    「第二章」につづく・・・・

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