♯3 司法試験合格に必要な知識量・勉強量とは


司法試験の困難さ、特徴

 司法試験が、高校入試や、大学入試と一番大きく異なるのは、現在の自分が(受験生の中で)どの程度のレベルにいるのか、どこまでいけば合格ラインにあると言えるのか、が見えづらい点にあります。
 1点目の受験生のレベル、自分のレベルがわからないというのは、高校入試や大学入試の頃と異なり、受験生の大多数が受ける模試というのが直前模試(TKC)の1回しかないということ。また、学部や院の成績は決して受験生のレベル感を表すものではないためです。学部や院の成績は、確かに一定程度の相関性はあります。  
 しかし、授業に予復習の時間を長く取ればいい成績は取れてしまいますし、反対に実力はあっても予復習に時間をかけない人も多く存在するため、余り学部・院の成績は当てにならないのが現状です。特に、一部の教授は、自分が取る説をとって答案を書かないと良い点はつけないといったこともあり、成績と実力レベルは必ずしも一致しないのが実情です。
 2点目の合格ラインがわからないという問題についてです。論文式試験は、試験後出題趣旨と採点実感というのが法務省のHPに公開されます。出題趣旨は、どういう意図で問題が作成されたのかが書かれており、採点実感は実際に受験生がどのように書いていた生徒が多いのか等が書かれているものです。しかし、具体的に「○○の論点について書いていれば5点」といったように具体的に書いてあるわけではありません。そのため、受験生でも出題趣旨と採点実感を正確に読み解くことは非常に難しく、初学者にとっては不可能に近いと言えます。
 以上を踏まえると司法試験って受かるためにどれぐらい勉強すればいいの?というのが非常に見えづらいことがわかります。

必要な知識量


 では、いきなり本題になりますが、必要な知識とは何かというと、演習書(論文マスターや重問等)1冊から得られる知識+AランクBランクの過去問で学ぶ知識が当たります。 ※あくまで、演習書は1冊で良いので、複数の演習書に手を伸ばすということはしないでください!
 具体的にいうと、私が自作して使用した暗記カードの枚数でいうと、暗記カードが憲法60枚、民法100枚、刑法85枚、刑事訴訟法76 枚、民事訴訟法74枚、会社法71枚、行政法58枚、7科目合計524枚になります。
 暗記カード524枚で論文596位は出せたので、予備組(令和4年予備試験合格者だと472人)を抜くと上位150位以内にはなれました。
 なので、初学者や未修者の皆さんには、暗記カード524枚ぐらい覚えられれば知識量として十分であること肝に命じてください。他の記事で具体的に書きますが、知識をとにかくつけようとして色々な基本書・参考書に手をつけたり、判例集を網羅しようとしたりすることは一切不要です。むしろ多くの曖昧な知識は試験本番の極限の緊張感の中で迷いを生む原因になり、皆さんのペンを悩ませることになりかねません(無駄な筋肉をつけすぎて逆に身動きが取れない感じ)。
 「#2司法試験論文式試験とは何者?」で詳しく書いているのですが、基本的な知識を正確に覚えていれば必ず受かります。大学入試の英単語等と比べて、はるかに数が少ないとは感じてもらえましたでしょうか?そうなんです、実は司法試験合格に覚えるべき知識というのはそれほど多くはありません。
 しかしながら、多くの受験生は現場思考で問われるような論点まで覚えようとして、最新判例や、マイナーな判例まで読み込もうとします。「♯2司法試験論文式試験とは何者?」でこの点も詳しく書いてあるので是非読んでもらえたらと思いますが、司法試験論文式試験の確実合格のためには、このような現場思考の論点を“知っておこう”、“覚えておこう”というのは不必要です。勉強時間は限られているので、そのような知識を習得しようとする分他のことが出来なくなります。下記に書いてあることだけをすれば必ず合格するのには十分です。

勉強量・勉強時間

 皆さんが実際知りたいのは、勉強量・勉強時間なんじゃないかと思います。結論から言って、確実合格に必要な勉強内容は、

・暗記カード524枚+選択科目 について完璧にすること
・演習書(論文マスター(伊藤塾)やサブノート、重問(アガルート)等)各科目1冊ずつについて講義受講を含めて4周すること(私の場合は論文マスターしかしておりません)
司法試験本試験過去問について、加藤ゼミナールの加藤先生のブログに書かれているランク付けに従ってAランク・Bランクの過去問を2周すること。ちなみに令和5年受験段階ではAランクBランク合計で83題でした。
・短答を習得すること(詳しいことは別途短答についての記事を書きます!)

の以上になります。多いと感じたでしょうか少ないと感じたでしょうか。司法試験合格にあたっては以上のことのみが出来れば、必ず合格出来ます。ここに書いてない百選の読み込みや、司法試験全年度、予備試験の過去問も解く、最新判例の予備校の講義を受講する等は確実に合格するためという点に関して言えば不要であるということです。
 ちなみに私は、過去問AランクBランクの1周目の途中で合格したので、(およそ50問ほど)最大でもこれだけやれば必ず受かると思ってください。この箇条書きは、単純に見えて真理だと思うので、是非覚えていただきたいです。
 勉強時間は上記が達成できる時間ということになります。
 しかし、勉強時間として上記全て分以上の時間を勉強に費やしながら落ちている人はごまんといます。なぜ、留年や不合格になってしまったのか、私が周りを見ていたりして思う原因を次回紐解いていきたいと思います。
 また、原因として良くあるのは論文試験がどうすれば点が取れるのか理解出来ていないことです。論文試験の点の取り方や過去問の演習方法や、短答のやり方についても別記事を書き、随時更新していきます。

最後に 皆さんに意識しておいて欲しいこと

 司法試験というのは、頭が良い人か自分を頭が良いと思っている人しかそもそも目指さない試験です。そのため、本試験の合格率が50%ぐらいだから簡単と言ったわけではありません。なので、決して辛く苦しい思いをせずに受かる試験ではないということは覚えておいて下さい。また、予備校1強時代も終わり、合格法等もまわるようになり、受験生のレベルも法曹コース等の導入があり上がっています。
そんな中での勉強は、不安な毎日です。不安は人を曇らせます。特に上記の通り、最終ゴールである論文において何が求められているか見えづらいため、合格にあたってコスパの悪いことをついついしてしまいかねないものです。しかし、人が1日当たり一番の集中力を発揮できる時間というのは1日3時間もないように思います。なので、コスパの悪いことをすることは、勉強しながら自分を苦しめることになり得ることを知っていただきたいです。
本ブログは羅針盤となりたいと思っているので辛い時は是非立ち返ってくだされば幸いです。気になることや相談したいことがありましたらDM(https://twitter.com/yume_noatosaki)送ってください。
 あなたの合格を心より祈っています!

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