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石炭火力であることには変わらないが。

以下の記事は、「長崎県にある石炭火力発電所(松島火力発電所)が高効率発電方式に転換されることとなった」というもの。

この記事を読むとが松島火力発電所の”ごく一部”を改造し、高効率化するという印象を受ける。しかし実際は全く違う。記事にある石炭ガス化複合発電(IGCC)というのは、現在の松島火力発電所の発電方法とは大きく異なる。新たな設備も大量に製造することとなるし、現在の発電所のほとんどが使用出来ない。

その結果として、記事の中にある様に、発電所改造工事は2024年に開始されるが運転開始は2026年と、2年に渡る工程となっている。

高効率の石炭ガス化複合発電(IGCC)に転換すると発表した。2024年に工事を開始し、26年度の運転開始を目指す。

発電所に関わる仕事をしているので、今回の”転換”がほぼ、新たに発電所を作ることに匹敵する大工事になると想像している。

一方で、記事の下の方にある様に、宇部市で計画されていた石炭火力発電所の新設は断念された。現在の脱炭素の潮流を考えれば、当然かも知れない。

一方、Jパワーは同日、山口県宇部市で宇部興産と進めていた石炭火力の新設計画を断念すると発表した。これで同社が関わる石炭火力の新設計画はなくなった。

石炭火力を”ほぼ”新設する工事を”転換”と表現することで、同じ石炭火力であっても、松島火力の計画は進めることが出来ている。ものは言い様だなぁ、と思う。

ただその一方で、CO2を比較的多量に排出する石炭火力発電所を廃止する効果は大きい。発電量あたりの石炭火力のCO2の排出量は以下の如く絶大である。
今回”転換”対象となった発電所は約40年前に立てられてもので、最新のものと比べればCO2排出量が10%程度多い。この発電所を廃止することは大きな意味を持つ。

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世界の流れを考えれば、今から石炭を使用する発電所を作る日本は時代遅れであるのは間違えない。しかし、原子力は使いづらい世の中であり、石炭は安く地球上に比較的偏り無く存在していることから、エネルギーの安定供給という点でメリットがあるのは事実。

今後の日本のエネルギー業界がどうなるか気になる。

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