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FACTFULNESS

FACTFULNESSは、副題の通り、10の思い込みを乗り越え、データを正しく基に世界を正しく見る習慣を持つための本です。

著者のハンス・ロスリングさんは残念ながら原著の出版前の2017年に亡くなっていますが、息子のオーラ・ロスリングさん、その妻アンナ・ロスリングさんとの共同作業によって書かれました。

日本語版が出版されたのは2019年ですが、世界100万部越えの大ベストセラーのようで、2024年になった現在でも書店でよく見かける印象です。

読む前は小難しいビジネス本だと思っていたのですが、イントロダクションを読み終え、いい意味で想像と違っており驚きました。

この本では最初に世界の事実に関するいくつかのクイズが3択で出題されます。
教育や貧困、予防接種についてなど計13問ありますが、2017年の結果では正答率の高かった1問を除くとなんと平均正解数はたった2問だったようです。
ランダムに答えても4問は正解するはずなのになぜ間違えるのかと著者が考えた結果、人々が持つドラマチックすぎる世界の見方が原因だとしています。
ドラマチックすぎる世界の見方とはつまり、世界では戦争や自然災害が絶えず、貧困は増え続け、世界はより悪くなっているというような先入観を持った見方のことです。
この本はデータを基にそのような先入観をなくし、正しく世界を見る方法を教えてくれます。
先入観を持ってしまう要因を分断本能、ネガティブ本能、単純化本能など10の本能に分け、著者の実体験を交えながら書かれています。
それぞれの章の最後には先入観を持たないための対策も書かれており、世界の実情を正しく理解することはもちろん、本質的な考え方も養えます。

自分自身のことで考えて見ると、学生時代にカンボジアを訪れたことを思い出しました。もちろん地域にはよりますが、都市部ではほとんど日本と変わらないイオンなどの大型スーパーもありましたし、出会った人々は皆、生き生きとしていました。
いかに自分が先入観を持っていたかということを思い知らされた経験でもありました。

この本が出版された後も戦争は続いていますし、新型コロナウィルスのパンデミックもありましたが、世界は悪いことばかりではないと思えば心が少しだけ未来に希望を持つことができました。
世界の様々な問題に対して自分にできることは少ないかもしれませんが、まずは日々変わりゆく世界の事実を正しく見る習慣を少しずつでも持っていきたいと思わせてくれた一冊です。

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