ペナントレースとは物量戦である

ペナントレースは全部で144試合。

ポストシーズンを含めると、160試合近くこなしていかなければなりません。

そのような長期戦を勝ち抜くことを考えると、選手各々の質というものも当然重要になっていきますが、それ以上に1軍で活躍できる選手の数(=物量)の方が大事になってくるのではと感じます。

野手の観点から見ると、物量があるから、主力選手を休み休み起用しても実力がそこまで落ちないため、勝ちを拾うことができます。

それに加えて主力を休ませることができるため、疲労軽減かつ故障のリスクも減らすことができ、より充実したパフォーマンスを引き出せ、かつ活躍できる期間をより伸ばすこともできます。

投手の観点から見ても、同様のことが言えるでしょう。

実際、昨年独走でリーグ王者に輝いた広島、ソフトバンクは物量で他球団を圧倒していた感はあります。

広島は特に野手陣の層の厚さ、ソフトバンクは特に投手陣の厚さが秀でていました。

過去のチャンピオンチームを見ても、やはり物量がシーズンを勝ち抜くうえで重要であることが分かります。

しかしどのチームも物量を増やすという視点はあっても、増やした物量を維持していくという視点は少々欠けているのではないかと感じます。

その典型例が、投手運用の特定投手に対する依存でしょう。

今季だけでも、オリックスの山本由伸、山田修義、ソフトバンクの加治屋蓮、広島のフランスア、アドゥワ誠、巨人の澤村拓一らの名前が挙げられます。

名前を挙げた選手は皆今季飛躍を遂げたor復活した選手で増やした物量とも言えるでしょう。

ただ、全く計算してなかったうれしい誤算のためいくら使っても良いとか思っているのかは知りませんが、どの投手も今季で潰さんともする勢いで起用され続けています。

今後の数シーズンという長期的視点から見ても、今季のみという短期的視点から見ても、どっからどう見ても悪手にしか見えません。

長期的に見ると故障等により、その投手のパフォーマンスが著しく落ちて、もはや計算のできない存在になりかねませんし、短期的に見ても登板を重ねてパフォーマンスが落ち、しまいには接戦を落としてしまうことにもなりますし、当然故障リスクも上がります。

ベテラン投手ならまだマシなのですが、それが20台前半から中盤といった、これからがピークという投手にこのような起用を行っているのですからなおさら最悪です。

こうして、せっかく作り上げた投手陣が1~2年くらいであっさり崩壊し、戦力の連続性を維持できないまま暗黒を迎えるわけです。

このように投手に関しては、とりわけ物量の維持の観点が抜けています。

野手に関しても、守備負担の多いポジションの選手に適切な休養を与えないことなんかは物量の維持の観点からは悪手でしょう。

ただ野手は投手に比べて、そこまで気を遣った起用をしなくても影響は出にくい面があるのは事実です。

ですので物量の維持の観点はより投手に用いるべきなのでしょうね。

70年以上前の太平洋戦争でも、勝負を分けたのは結局物量差でした。

長期戦に持ち込まれ、米国との圧倒的な物量差に徐々に押し込まれていった形でしたが、この教訓は果たして生かされているのでしょうか。

この教訓は単に戦争だけでなく、様々なことと通ずることがあるように感じます。

その一つが野球であり、ペナントレースの戦い方なのでしょう。

しかし現在のNPB各球団の戦い方を見ていると、その教訓が生かされているようにはまるで見えません。

各球団の首脳陣には「ペナントレースは物量戦である」との言葉をしっかり刻んでいただきたいものですが…

#野球 #プロ野球 #ペナントレース #物量戦

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