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『白雪姫』について語り尽くす!【ディズニー長編アニメ総チェック#1】

上記リンクは、AIに当記事を読み上げてもらっています。(一部省略などもあり)


みなさん、どうもnoteの更新を怠りまくったyumaです。
突然ですが、本格的にnoteの更新を頑張っていこうかと考えております。

というのも、個人ブログをずっとやってましたが、
「もしかしてnoteの方が、映画評論などを、読んでもらえるんじゃないか?」
とここ最近思うようになり、「いっちょ試してみるか」ということで、本格的に更新をしていきたいと思います。

まずは手始めに2020年から続けてきた、ディズニー長編アニメーションの評論企画こちらをnoteにて連載していきたいと思います。
長編アニメは2023年9月3日時点で61本公開されていますが、
これらをすべて鑑賞・評論する【ディズニー総チェック】
これを再度ブラッシュアップしていきたいと思いますので、ぜひお付き合いいただければと思います。

ということで早速ですが、【ディズニー長編アニメ総チェック#1】
記念すべき1本目は、映画史に燦然とした功績を残す作品『白雪姫』
こちらの評論をしていきたいと思います。


『白雪姫』について


基本データ

  • 公開 1937年

  • 監督 デイヴィッド・ハンド/ウィルフレッド・ジャクソン
       ラリー・モリー/パース・ピアース/ベン・シャープスティーン
       ウィリアム・コトレル

  • 脚本 テッド・シアーズ/オットー・イングランダー/アール・ハード
       ドロシー・アン・ブランク/リチャード・クリードン
       メリル・デ・マリス/ディック・リカード/ウェッブ・スミス

  • 原作 グリム兄弟

  • 製作 ウォルト・ディズニー

  • 声の出演 アドリアナ・カセロッティ ほか

  • 吹き替え 富沢志満(1958年版)小鳩くる(1980年版、映像作品として流通しているのは、全てこちらの版)

あらすじ

白雪姫は7人の小人と友情を育み、その美しさを妬む継母の女王の恐るべき計画に打ち勝つ。
記念すべきディズニー初の長篇アニメーション映画。

ディズニープラスより引用

歴史的に最も価値のある映画のひとつ!!

間違いなく人類史でも重要作品

この作品は数多ある映画の中でも、最重要な映画作品のひとつだと言える。
そもそも1937年当時、まだまだアニメという技術は黎明期であり、一般的なものではなかった。
そんな時代において『白雪姫』は世界中の人々の多くが最初に目にした「長編フルカラーアニメーション映画」だという点である。

さて、ここで歴史的事実に基づき語らなければならない点がひとつある。
それは、「『白雪姫』が世界初の長編アニメーション」であるという、世間的な通説、これが実は間違っているという点だ。
というか、公式やそれに準ずるデータすら、事実誤認を起こしているのだ。

自分も不勉強ながら、『白雪姫』こそが、世界で初めての「長編アニメーション映画」だと思っていた。
だが、歴史を紐解いていくと、実はアルゼンチンのキリーノ・クリスティアーニが作った『使徒(1917年)』これが「世界初の長編アニメーション」なのだ。
さらには同監督の作品『ペルードポリス(1931年)』という作品があり、これらが、「世界初の音声付き長篇アニメーション」なのだ。
ただ、これらは全て火災でフィルムが焼失してしまい、今ではみることは叶わない。

この点は、高橋ヨシキ著「暗黒ディズニー入門」に詳しく描かれているので、ぜひ参照してみてください。

とはいえ、この『白雪姫』が世界で多くの人間に初めて見られた「長篇フルカラーアニメーション」である、その歴史的な意義は揺らぐことはない。
この作品は人間の「表現の方法」において、新しい「アニメ」という表現を確立し、世に認めさせることになった。
間違いなく「人類史」に残る作品であるということは否定できない。

ちなみにこの「白雪姫」は1937年公開されている。
「第二次世界大戦」がその2年後に始まったことを考えると、その古さがより身に染みる。

そんな古い映画だが、鑑賞して驚かされるのは、その完成度の高さだ。

現代のアニメが当たり前にある時代を生きている僕も、そのクオリティの高さに驚かされるんだから、当時これを見た観客たちは本当に度肝抜かれただろう。
このクオリティの高さがあったからこそ、「アニメ」という手法が「新しい」表現方法としての地位を確立できた。
そして今日まで「アニメ」が作り続けられている、その礎になったと言える。

ということで、繰り返しにはなるが、そもそも『白雪姫』は、この作品が生み出されたこと。
そのことに大きな意味があるし、歴史的側面から見ても、大袈裟でもなく「人類史」に残る作品なのだ。
だから、もうこの時点で評論も何もない。
”人類史に残る作品”という最大級の賛辞を、やはり送るしかないのだ。

全てのシーンに「歴史的価値」がある

ちなみに。僕は先ほどから、内容に触れず作品の「意義」を褒めまくっているが、それは何故かというと、正直この作品の物語の内容はあまりにもスカスカなのだ。

内容云々を語るよりも、これは「ウォルト・ディズニー」が当時の技術を試行錯誤して絞り出した、結晶のような作品だとしてするべきものなのだ。

そもそも、アニメとは何か?
それは何もない白い紙の上、つまり無の空間に「生命」が生きていると錯覚させる技術だ。
ちなみに「アニメーション」とはラテン語「アニマ」が語源になっている。
「アニマ」とは「生命」「魂」を指す言葉だ。

今では信じられないが、当時の「キリスト教徒」からは、「アニメは悪魔の技術」だと忌み嫌われていた。

「キリスト教」の倫理観では「生命を生み出すのは神の特権」なのだから、それを模倣する行為は「悪魔的」と紛糾されたのだ。
まさしく「ウォルト・ディズニー」たちは「神」の所業のようなことを行ったのだ。
そういう意味で、これはとんでもない「発明」だったとも言えるのだ。

ただ今の僕らは「アニメ」が当然のように「存在する」世界に生きている。
逆を言えば、「アニメ」がなかった時代、初めてそれに触れた観客の感動を味わうはできない。
だからこそ、この作品を僕は正直「内容がスカスカ」と感じる。
だが、そもそも当時ではこの映画の全てが、新しい体験だったのだ。

例えば、ある意味で物語が全く動かない中盤。
白雪が城から逃れ、森の中を彷徨うシーン。
彼女は「継母」に殺されてしまうという恐怖、そして森の中という普段足を踏み入れぬところから生じた恐怖。
それらが合わさり、木々の模様があたかも怪物に見えてしまい、彼女がパニックに陥るシーン。
そこで描かれる現実では描けない後継に観客は息を飲んだであろう。

そこから「七人の小人」の家の場面。

家の掃除を動物と協力して行うというシーンで、動物たちの個性を活かした掃除方法の見せ方。
そして「七人の小人」のコミカルなやりとり、そして夕食後のひと時。

はっきりいうと、この場面は全部なくても物語は成立する。
でもこれらのシーンは「アニメ」でしかできない表現に満ちているのだ。

ある意味で、物語を語るよりも、こういう今まで人類が見たことのない世界を見せたこと。
そのことに意義があるのだ。

ちなみに、物語がスカスカと言ってはいるが、もちろん好きなシーンはある。
それは白雪が仮死状態になり「怒りん坊」が涙ぐむシーン。
この映画彼だけが最初から白雪姫に心を素直に開かない。
だが、本心では彼女を気に入っていたというのが垣間見えるこのシーン。
この、あまりにもツンデレな怒りん坊。
実は作中で一番涙している。
そもそも、作中で一番最初にヴィランである「継母」と戦う意志を見せたのは彼だ。
物語が物語なら、彼こそが「王子様」だったのかもしれない。

そして、白雪蘇生後は、素直に彼女に親愛の感情を表している、この物語の中で、僕には「怒りん坊」が最もいきいきとしているように見えた。
なのでこの作品のMVPは怒りん坊だと勝手に認定したい。

勿体無い終盤の展開に隠された謎

何度も繰り返すが、肝心の物語は、もうさっきも言った通り「スカスカ」
だけど、普通ならば鈍重なシーンにも、全て「意味がある」今作品。

さて個人的に気になる点を挙げたい。
ということで、いきなり結末にまで話を飛ばしますが、白雪がりんごを食べる。
その後、誰もが知る彼女が「眠る=死んだ」と思われる展開。
そこからすぐに王子が来てキスする、そして蘇生し2人は結ばれる、と僕は思いこんでいた。

でも実際に作品を見ると、そこから数ヶ月経っている。
いや、季節が一周しているので、ほぼ一年が経過しており、こんなにもタイムスパンのある話だったのか、と驚かされた。

(今の基準から見たら、いや当時の基準からも、物語開始時に一目惚れしてたとして、王子よ。死体にいきなりキスするとかヤバイぜ・・・、というツッコミはしてはいけない)

ここからさらに驚きなのだが、ここで白雪が王子にキスされて生き返ってからの展開のはやさ。

この一連のシーン。
「白雪」が望んだ幸せとは「王子さま」に「見出される」ことである、それは冒頭にも描かれていた。
このシーンはその、夢が成就するシーンなのにも関わらず、本来なら最高潮に上がるシーンのはずなのにこの淡白ぶり。
映画として勿体無いとも言えるスピード感なのだ。

ここから察するに、この時点でディズニーは「女性の幸せ」それは「男性に見出されること」という、過去の「ディズニープリンセス作品群」で批判されがちな価値観を確立する気は、さらさらなかったのだ。
この価値観は「プリンセス物」を作り続けた歴史が生み出したものなのだということが逆説的に『白雪姫』を見て気付かされもした。

ただ、「ディズニー的プリンセスの幸せ」なる物の種は当然今作品にも描かれてはいる。
例えば白雪姫が歌唱する楽曲の「いつか王子様が」の歌詞はその典型だ。

いつの日にか
王子様が
きてくれる
その日を 私は夢に見る

白雪姫「いつか王子様が」より一部抜粋

この作品の後にディズニーが作り出し、そして出来上がっていく「プリンセス象」その功罪。
そのことを知っている我々からすれば、この歌詞はやはり「男性に見出されること、それこそが女性の幸せ」と歌っていることは否定できない。

そしてこの歌詞からも類推される「女性の幸せ」というのが、「社会の成熟と共に(もちろんまだ不十分だが)、女性の幸せとはそういう物なのか?」という疑問が生まれ、それは今では「古い」価値観とされている。
現代の「ディズニープリンセスストーリー」は、このように「今となっては旧態依然とした価値観」の刷新にこそ重きを置いている。
このような、自分たちの生み出した過去の価値観を自ら変化させていこうとする姿勢。
それが現代のディズニーの強みではないだろうか?

そういう歴史も含めて、やはりその原点である『白雪姫』はディズニーにとっても、映画史においても特別な作品なのだ。

継母の最期は、ある意味残酷

こと『白雪姫』に限った話ではないが、ディズニーは以下のように批判されることが多い。

「ディズニーは世界の童話を”ディズニー化”している」(乗っ取っている)」と。

これは、ディズニーが世界に数ある「童話」を映画化した際に、無味無臭化していることへの批判だ。
つまり本来の物語にあった皮肉や残酷さ。
これらを無きこととしている、その是非を問うているのだ。

この『白雪姫』も原作である「グリム童話」では、いろいろな違いはあるが、例えば「継母=女王」がたどる末路が全く異なる。
有名なものとしては「焼けたサンダルを履かされ、死ぬまで踊らされた」という中々にエゲツない殺され方を描いたりしているのだ。

ただ、個人的な意見として、今作品の継母の死に方は、原作よりも残酷なものになっているのではないだろうか?

それは彼女が「美しさ」というものにこだわりを持っており、それが故に白雪を殺そうとしたのが、この物語のそもそもの発端だ。

白雪を油断させるために老婆の物売りに変装した継母。
目的達成のためとは言え、自分が忌み嫌った「醜い姿」になった。
だが継母はその姿のままで崖から転落して死ぬという、非常に惨めな死に方をする。

「美しさ」にこだわり続けた継母が、一番なりたくない「醜い姿」のままで死ぬ。
これはある意味で原作にある「身体的苦痛」よりも彼女にとっては苦しいことに思えるし、そこはある意味で残酷だと思った。

そのことも踏まえると、「ディズニーにおける無味無臭化」も、先ほど指摘した「女性象の確立」も、この先積み重ねられた「作品」「歴史」が生み出したものだったのだ。
何も最初から、世界の童話を「無味無臭化」しようとウォルト・ディズニーは思っていなかったのではないだろうか?

何度も繰り返しになるが、その後、積み重ねられた「歴史」がそう言った批判を生むに至ったのだと、原点の『白雪姫』を見ることで再認識させられた。

まとめ

今作品は、全てのシーンが歴史的な意味に満ちている作品だ。

多くの人間が、「長編フルカラーアニメ」という新しい表現に対する驚きをこの作品から受けた。

当たり前のように「アニメ」が存在する世界に生きている我々に、「アニメのない世界」
そこで、初めて「アニメを見た衝撃」を理解できるだろうか?
悲しいかな、それは不可能だ。

当時、全てのシーンが、観客に衝撃を与えたに違いない。
そして「アニメ」は大衆に新しい表現として受け入れられ、そして今もその表現は進化をしながら脈々と続いている。

アニメ黎明期において、一つの完成品として世に放たれた『白雪姫』
そういう意味で、この作品は内容よりも、やはり「歴史的意義」についての視点から語らなければならない作品でもあるのだ。

さて、最後に余談だが、個人的に、どうしてもこの作品のラストシーンが「黄泉の国」つまり「死後の世界」に見えてならない。

ラスト白雪が王子と共に旅立ち、雲の向こうに「城」を見るシーンが描かれる。
あのシルエット、そして光り輝き方。

どう考えてもこの世のものに思えない描かれ方をしている。

もしかしたら「白雪姫」は目覚めておらず、ラストシーンは彼女が眠りの中で見ていた「幸せな夢」なのか・・・、そう思わされてしまった。
皆さんはあのラストシーンをどう考えるのでしょうか?
ぜひご意見あればお待ちしております。

何はともあれ、「白雪姫」
「人類史」「文化史」に残る作品であるということは間違いない事実なので、是非鑑賞をしたことのない方は、是非ご覧いただくのがオススメです!!

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