見出し画像

「15歳・40歳・60歳が社長になる日」実現のために、『HR3.0』へのアップデートを

「人生100年時代」がもたらしたもの

今年の流行語にもノミネートされた「人生100年時代」。

この言葉の登場で、これまで言われてきた定年延長やキャリアの複線化が、多くの方にとってジブンゴト化したのではないかと思っています。


40歳を社長に

また、東芝やシャープに代表されるように、かつて栄華を誇った大企業が沈む姿も多くの人の意識変化に影響してきています。

企業寿命20年時代と言われますが、世界を巻き込んだ競争環境とニーズの複雑化は進んでおり、それらに対応するためには、今の時代のど真ん中を生きるデジタルネイティブ世代が経営の舵を取る必要性が叫ばれ始めています。

まさにそのことを分かりやすく示したのが、岡島悦子さんの著書「40歳が社長になる日」でした。40歳社長を創るためには、経営者・人事・個人それぞれのマインドチェンジが必要です。


15歳社長に注目が集まる

女子高生社長として名を馳せた椎木里佳さんや、GNEXの三上洋一郎さん、そして、先日話題になった16歳で1億円を調達した山内奏人さん達3人はいずれも15歳で起業をしています。スマホ一つで世界中の情報や人にリーチできる今、挑戦のハードルはますます下がっていると感じています。

これだけ挑戦できる環境がある中で、その挑戦を阻む存在になってしまいがちなのが、親と先生です。

藤原和博さんの講演を先日伺ったのですが、著書である「10年後、君に仕事はあるのか」は、子ども向けの口調で書かれてはいるが、本当は親と先生に読んで欲しいと強調されていました。


キャリア教育は待ったなし

20世紀思考の塊である「公務員と銀行は安定」説を盲信し、子どもに勧め、ベンチャーやスタートアップへの就職に反対する。そんな思考では、かえって子どもの意欲を削ぎ、引いては日本の発展さえ遅らせてしまいかねません。

先日、2030年にキャリア教育が必須科目になると聞きましたが、それまでとても待っていられません。企業の人事や生き生きと働く社会人が積極的に教育現場に関わり、子どもや先生に「働くこと」や「未来の仕事の姿」をプレゼンし、子どもらとディスカッションするような場を増やしていく必要があると考えます。


60歳で知る現実

年齢をぐっと上げて、60歳の話をさせて頂きます。

今年、「定年後」という本がヒットしました。定年を境にそれまで生活の多くを埋め尽くしていた「仕事」がぽっかりと抜け落ち、寂しさと空虚が支配する日々に入ってしまう。

しかし、また仕事をと再就職に奔走しても、結局就ける仕事はマンション管理人や警備員など、それまでのスキルを活かせない仕事。そんな年配者が多くいらっしゃるようです。
これまで、企業は伸び続ける既存事業をいかに効率良く拡大させるかに主眼を置き、そのために均質的な人材を最適配置し、上意下達による結束組織により成長を成し遂げてきました。
これにより、企業戦士としてその会社では活躍できたとしても、他の会社では言語や文化の大きな隔たりにより同じやり方が通用しない人が多く生み出されてしまっているのではと思っています。


「企業における社長」と「自分株式会社における社長」

企業寿命20年時代において間違いなく必要なのは、多くの起業家や優秀な後継社長を育てること。

そして、人生100年時代において必要なのは、企業に依存しない自立した人材を育てることです。

そしてそれを、先生や親、企業経営者、人事、個人で責任を押しつけ合うのではなく、社会単位で人を育てていくことが重要なのではないかと思っています。


15歳社長を生み出す

義務教育を終える15歳。この時点で、自分の人生を自分で背負う覚悟を持ち、キャリアのオーナーシップを握る(自分株式会社の社長になる)意思を持てる子ども達が多く生まれたら…

まさしく、将来の日本を背負って立つような子ども達であろうと思います。

そのためには、社会を知る先生を増やすことと、社会で働くことを知る企業人事や経営者が積極的に教育現場に進出することが重要です。


60歳社長を生み出す

60歳で定年を迎えたとき、これまでの仕事の充実感と培った知見・経験への自信を胸に、新たな職場に参画したり、個人のプロとして独立したりすることができるシニアが多く生まれたら…

生き生きと働き続けるその姿に本人や家庭により幸せが訪れ、また、そんなシニアに助けてもらえる企業が増えるだろうと思います。

そのためには、キャリアの早い段階から、個人や人事は生涯を通じたキャリア計画作りとスキル開発を行っていくことが重要です。


3世代の社長を創る

まとめると以下のような感じでしょうか。

3世代の社長を創りだす

・キャリア教育の高度化 → 15歳社長(義務教育終了時)
・次世代リーダーの育成 → 40歳社長(若手が大企業社長に)
・セカンドキャリア開発 → 60歳社長(定年時)

このときの社長とは、2つの意味があります

①自分株式会社の社長
②企業の社長


必要なのは、HR領域のアップデート

私が発起人の1人として携わらせてもらっているOne HRでも訴えていますが、3世代の社長を創るために、HR(HR企業、企業人事、個人)に求められる役割は「HR3.0」であると考えます。

HR1.0(高度経済成長期)は、企業人事の役割は「人材確保(終身雇用、新卒採用)」であり、そこに対して「新卒一括採用」を支援するHR企業が登場。企業に属する個人は「社内でのスキルアップ」を志向しました。
HR2.0(不況期)では企業人事の役割は「人材管理(中途採用、リストラ)」にシフト。HR企業では「転職のマッチング、再就職支援」が盛んとなり、個人の中には「転職市場価値の向上」を企図する方も出てきます。

そして、人生100年時代・企業寿命20年時代に必要なのはHR3.0です。

HR3.0では、企業人事においては、イノベーションを起こせる「人材創出」が求められ、HR企業に対しては「多様な働き方、人材活用の提案」が必要とされています。そして、個人においては「自立した生き方、専門性の開発、自分らしい働き方」が必須となってきているのです。


HR1.0の会社もまだ多い

そうは言っても、副業の議論がまだまだ進まないことを見て分かる通り、変革が遅々として進まない企業もまだまだあります。

しかし、目の前で不幸になる年配者や挑戦を許されない子どもや学生、大企業の中で牙を抜かれ買い殺されていく若者を見るにつけ、このままでは立ちいかなくなる組織や個人が増えていくことは火を見るより明らかです。


共創の力で社長創出を実現する

個人の力だけではもちろん、人事だけ、また、国に頼っているだけ、では変革の力はまだまだ弱い。

しかし、それぞれがアイデアや悩みを持ち寄り、最適解を模索し、小さくも試していくことで、新たなムーブメントは起こせるのではないかと思っています。

何より、そうやってもがき合う姿が、15歳・40歳・60歳社長の候補者達に少しでも夢を与えられるのではと信じています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?