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#12 カタツムリ

はじめに

前回のnoteを読んでくださった皆さんから、多くのメッセージをいただきました。本当にありがとうございます。皆さんの温かい応援が、私の力となり、過去の自分と向き合うことで成長する機会を与えてくれました。

GADOROの「ここにいよう」の歌詞にある

「水の中で泣いてる人の涙に  
気付けるような人になりたいんだ」

GADORO/ここにいよう🎧

という言葉のように、私はこれからも困難な状況にある人々や、心が沈んでいる人々に寄り添い、支えとなる存在でありたいと考えています。

そして、noteを通じて、私の考えや柔道家としての私を知っていただければ幸いです。

前回のnoteをまだご覧になっていない方は、こちらからどうぞ。

ばあちゃんとの思い出

今回は、私の祖母、パワフル過ぎるばあちゃんのお話です。

引退が決まった昨年12月末のことです。年末年始の休暇で実家に帰省した際、家族にそのことを打ち明けました。皆、「お疲れ様」と労ってくれたり、「最後の年、後悔のないように頑張ろう」と励ましてくれたりしましたが、ばあちゃんだけは違いました。

ばあちゃんは大粒の涙を流し、「はがいたらしーな(*悔しい)。まだまだ続けられるのに、なんで辞めなあかんの」と残念そうに言いました。

ばあちゃんは、私が小学一年生で柔道を始めたその日から、初めて試合に勝った時の新聞や雑誌、近代柔道など、どんなに小さな記事でも見つけては全て切り抜き、保管してくれていました。高校生になり徳島県を離れて県外に進学し、社会人になってからも、大切な試合には必ず応援に駆けつけてくれました。秋田や富山の全国小学生学年別柔道大会、沖縄の全国中学校柔道大会、大阪の全日本カデ柔道体重別選手権大会、東京の日本武道館での全国高等学校柔道選手権大会、埼玉の全日本ジュニア柔道体重別選手権大会、福岡の全日本選抜柔道体重別選手権大会、千葉の講道館杯全日本柔道体重別選手権大会、尼崎の全日本実業柔道個人選手権大会、さらにグランドスラム・東京や大阪など、全国各地で開催された大会に、北は秋田から南は沖縄まで、常に足を運んで応援してくれたのです。

そんなばあちゃんが、私の引退を悔しがり涙を流してくれたことが、何よりも嬉しかったです。その気持ちに応えるためにも、結果で恩返しをしたいと強く決意しました。

2018年 講道館杯全日本柔道体重別選手権大会


ばあちゃんとは、たくさんの思い出があります。小学校低学年の頃、当時通っていた柔道場の非常口で捨てられていた小さな子猫を「ぶーちゃん」と名付け、その名前に恥じないほど立派に育て上げたばあちゃん。また、猫に「イヌ」と名付けるユニークな発想や、電動アシストなしの自転車で私と弟を幼稚園に迎えに来てくれたそのパワフルさも印象的です。あれから20年以上経ち、今では私が電動アシスト付き自転車で子どもたちを幼稚園に送り迎えしていますが、それでも重いと感じるので、当時のばあちゃんの力強さには本当に驚かされます。

公園では、みかんやポンカン、デコポン、グレープフルーツなど、どんな柑橘類でも、私や弟が食べるよりも早く、いつも綺麗に剥いてくれるばあちゃんがいました。これは、ばあちゃんの得意技の一つです。散歩中には、その辺に生えている葉っぱで草笛を作り、夏の早朝には一緒に近所の林でカブトムシやクワガタを素手で捕まえて見せてくれました。夏は冷たく、冬は暖かい不思議な池があった、吉野川遊園地の裏にある江川の湧水の公園につけた面白い名前。これは2人だけの秘密です。また、食事に行った際、「それってどんな味なん?」と聞く時は決まって自分が欲しい時です。

もうすぐ80歳になるばあちゃんは、叔母と飼っているゴールデンリトリバーの散歩も欠かさずしています。そんなばあちゃんの元気の源は、毎日欠かさず飲んでいる甘酒です。

そして、何より私の大好物は、小さい頃から食べているばあちゃんが作る、具材がはみ出し今にも溢れそうになるシーチキン巻きと、鎌田醤油のだし醤油で作る甘塩っぱいだし巻き卵です。これが世界で一番大好きです。

感謝の気持ち

思い出すだけで、数え切れないほどのばあちゃんと過ごした素晴らしい瞬間が頭に浮かびます。家族やばあちゃんの応援と支えがあったからこそ、ここまで柔道を続けてこられました。本当に感謝しています。

タイトルの意味

ここで、タイトル「カタツムリ」の伏線回収ですが、これは冒頭にも触れたラッパーGADOROが幼少時代に自分を大切にしてくれたおばあちゃんに向けた曲から取ったものです。

歌詞には、

「カタツムリみたく丸まったその背中は  
困難を前のめりに生きた現れだろ」

GADORO/カタツムリ🎧

という一節があります。私の三倍近い時間を生きてきたばあちゃんのその背中はまだ丸まってはいませんが、数々の困難を乗り越え、前のめりに生きてきた証であることに変わりはありません。

大会に向けて

全日本実業柔道個人選手権大会まで、残り37日。
講道館杯出場権を掴むために、全力で準備を進めています。ばあちゃんや家族、支えてくれている全ての方々に結果で恩返しができるよう、一層の努力を重ねますので、応援のほど、よろしくお願いします。

おわりに

このnoteを最後まで読んでくださった皆さんに心から感謝いたします。今回のnoteで共有したこの経験が、何かの形で皆さんの日々の生活に役立つことを願っています。

もしこのnoteを楽しんでいただけたなら、ぜひシェアしていただけると嬉しいです。

大会までのカウントダウンシリーズとして、私の今後の発信もお楽しみに。

それでは、土曜日の更新でまたお会いしましょう!

P.S.

最近、SNSで発信するようになり、出稽古やDM、コメントで「昔から試合見てます」「次の試合応援してます」「SNS参考にしてます」といった声を多くいただくようになりました。

2018年の講道館杯優勝以来、4年間負け続け、「大島はもう終わったな」と思われているかもしれませんが、階級を66kg級に上げて挑戦し続ける、もうすぐ30歳の自分を応援してくださることが本当に嬉しいです。

今年で引退が決まっていますが、惰性で残り少ない時間を楽しく柔道をしようなんてこれっぽっちも思っていません。そんなの「大島優磨」じゃないですからね。最後の1秒まで自分らしく全力で頑張ります!

また、一人で誰にも認知されずに寂しく引退するような形は、24年間続けてきた柔道に対する自分の姿勢を否定されるようで嫌です。だからこそ、応援してくださる全ての人を巻き込み、最後まで挑戦し続けます。皆さんの思いを私に乗せてください!

皆さんの応援が力になります。どうぞよろしくお願いします。

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