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ビジョントレーニングの基礎③ 周辺視野 2

こんにちは、ビジョンコンディショニングコーチの中塚です。
今日は前回の続き、周辺視野についてです。具体的なトレーニングやツールも交えて書いてみたいと思います。

唐突ですが、とても興味深いことに宮本武蔵の五輪書にも目の使い方が非常に重要だという事が記されています。ちょっと引用が多いので最後まで読んでみてください。
興味のない方は、引用部分飛ばして読んでもいいですよ!

宮本武蔵の五輪書

一 兵法、身なりの事。
身のかゝり、顔ハうつむかず、あをのかず、 かたむかず、ひずまず、 目をミださず、額にしわをよせず、 眉あひにしわをよせて、 目の玉のうごかざる様にして、 またゝきをせぬやうに思ひて、 目を少しすくめる様にして、うらやかにみゆる顔。 鼻筋直にして、少おとがひに出す心也。 首ハ、うしろのすぢを直に、うなじに力をいれて、 肩より惣身はひとしく覚え、 両の肩をさげ、背筋をろくに、尻を出さず、 膝より足先まで力を入て、 腰のかゞまざるやうに、腹をはり、 くさびをしむると云て、脇ざしのさやに 腹をもたせて、帯のくつろがざる様に、 くさびをしむる、と云おしへ有。(1) 惣而、兵法の身におゐて、常の身を兵法の身とし、 兵法の身を常の身とする事、肝要也。 能々吟味すべし。

まず、姿勢について言及していることがとても素晴らしく思います。
現代訳でまとめると、「頭はリラックスして身体は自然にまっすぐを保つ事」と言えるのではないかと解釈しています。
うなじに力をいれてという部分は、肩を下げるとあるのでグッと力むという事ではなくまっすぐに保つという事ではないかと思います。
最近の情報では首の筋をリラックスさせることで周辺視野が広く見えると言われており、400年も前に気付いていた事が驚きです。

そして次に眼の使い方、こちらは現代語訳も一緒にのせます。

観の目 見の目

一 兵法の眼付と云事。
目の付様ハ、大に廣く付る目なり。 觀見二ツの事、 觀の目強く、見の目弱く、 遠き所をちかく見、近き所を遠く見る事、 兵法の専也。(1) 敵の太刀を知り、聊敵の太刀を見ずと云事、 兵法の大事也。(中略)  目の玉うごかずして、 両脇を見る事、肝要也。 かやうの事、いそがしき時、 俄にハわきまへがたし。 此書付を覚、常住此目付になりて、 何事にも目付のかはらざる所、 能々吟味有べきもの也。
一 兵法の眼付けという事
 眼の付け方は、大きく広く付ける目である。  「観」〔かん〕と「見」〔けん〕の二つの事(については)、「観」の目は強く、「見」の目は弱く、遠い所を近く見、近い所を遠く見ること、これが兵法の専〔せん・第一とすべきこと〕である。(中略) 目の玉は動かずに両脇を見ること、それが肝要である。このようなことは、急場になって、にわかに会得できるものではない。この文書に書いてあることを覚えて、つね日頃、この眼付けになって、何ごとにも眼付けの変らないところ、それを、よくよく吟味しておくべきである。

観の目は周辺視野、見の目は中心視野の事を言っており周辺視野を使って全体を見ることで動きに対して対応ができるという事を言いたかったのだと思います。この観の目は「遠山の目付」とも呼ばれています。
視覚の使い方でいうところの平行法という見方ですね。

この眼と身体の使い方を意識したうえで、トレーニングを進めてみてください。

眼の使い方を意識して周辺視野トレーニング

・ダブルボールリフト
ボールはテニスボールでもお手玉でも構わないので、二つ用意します。
まずは身体の正面からやってみましょう。

二つのボールを同時に上に投げてキャッチします。
これができたら徐々に腕を広げ、少し難しいなと感じるところで練習していきます。
コツはどちらかのボールに眼を奪われたり、視線がふらふらとしないように遠くをボヤっと見るような眼の使い方で両方のボールを意識することが大切です。

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・周辺数字数え
周辺視野トレーニング

上のファイルをA4サイズで印刷して(スマホで行う場合は画面に表示して)、目の前30センチくらい顔の正面で持ち、真ん中の10に視点を置きながら(じっと見つめてはだめ) 周りの数字を1から順に25まで読んでいきます。
指をさして追ったり、声を出しながら行ってみてください。

・周辺数字数え2

周辺視野トレーニング2

こちらも同じようにダウンロードの場合はA4で印刷して目の前40~50センチくらい、スマホの場合は15~20センチくらいで真ん中の点に視点を置きながら周りの数字を読んでいきます。こちらのほうは丸型になっているので、苦手な方向がつかめるかもしれませんので見づらかった方向を覚えておいて重点的に意識するようにしてください。

いかがでしたでしょうか?コツは眼の使い方と身体のリラックスですよ!
おうち時間を有意義に、トレーニング時間をつくってまたいろいろと再開に備えて安全に過ごしてくださいね!


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この記事の関連ワード
ビジョントレーニング,周辺視野,有効視野,中心視野,五輪書

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