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パワー系のコンビニ。


前回のお話はコチラ↓


これは、ボクが4番目に働いたコンビニの話。

前回の職場は、なかなか楽しかったのだけれど、
店が閉店することになり、クルーも散り散りに。

ボクはまた、新たなバイト先を探すことになったのだった。

とはいえ、この頃のボクは、

「本業の役者の方が忙しくなってきたものの、
全くバイトをしないのも生活がままならない」

という、
【夢を追いかけて上京してきた若者あるある】
に陥っており(この時期が一番大変なんだよね)
アルバイト選びは悩みどころ。

新しい仕事をイチから覚えるのも大変だし、
いつ本業の仕事が入るか分からないので、
ある程度シフトに融通が利くところじゃないといけない。

うーん……これは……もう……

コンビニしかないか。

悩んでいる時間も、もったいない。

振り返って見ると、
コンビニバイトを始めて、はや幾年。

こなったら、もう心中する覚悟である(笑)

と、いうことで、
慣れ親しんだ青い看板のコンビニへと、面接に向かうのだった。



無事採用が決まったバイト先は、
中央線の駅前という、ハンパなく忙しい店舗だった。

今までが、東京の僻地にあるコンビニだったので、
忙しさは雲泥の差である(笑)

じゃあ、なぜここを選んだのかというと、
ボクが所属する劇団のホームから、徒歩10分だったから。

その気になれば、舞台の本番が終わってから15分後には、
カウンターで「いらっしゃいませ」が言えるという好立地!

実際、やったことがあるのだけれど、
舞台メイクそのままで入ったので、ギョッとした人もいたかもしれない(笑)

その勝手の良さと、オーナーの人柄が気に入ったこともあり、
ボクのアルバイト人生の中で、一番長く勤めたコンビニであり、
最後のコンビニバイトになった店だった。

そのくらい長く働いた場所なので、当然、エピソードもたくさんある。

今回はそのたくさんあるエピソードの中でも、
特に印象深かったものを紹介しようと思う。



ボクより少し前にバイトに採用された子で、
H君という大学生の男の子がいた。

H君は、芸人の「なかやまきんに君」に似ていたので、
ここでは「きんに君」と書くことにするけれど(笑)

彼は、その名の通り、筋肉ムキムキのマッチョマン。

その彼が行う仕事は、全てがパワー系だった(笑)

品出しもパワー系。

彼がダンボールを開ける様は、圧巻のひと言だ。

それで中身は無事なのかと心配になるけれど、
仕事が早いので誰も文句は言わない(笑)

パワーとスピードを兼ね備えた、万能戦士である(笑)

接客もパワー系。

「いらっしゃいませぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

彼の挨拶は、全てが全力だった(笑)

この記事↓でいうと、間違いなく「雄叫びスタイル」に入る(笑)


一緒にシフトに入ってるメンバーは、
「うるせえよ(笑)」
なんて言ったりもするけれど、

MS(ミステリーショッパー)=抜き打ちで店の様子を見に来る人

が入ったタイミングが、彼のシフトだったりすと、
挨拶の項目は、なんとMAXの満点。

しかも、
オリジナルの「なかやまきんに君」ばりの良い笑顔なので、
店の仲間からも、お客さんからも愛される存在だった。

ボクは夜勤で、きんに君は夕勤だったのだけれど、
この店の夕勤には「遅番」という、
数時間だけ夜勤の時間帯と被るシフトがあり。

きんに君はこの「遅番」に入ることが多かったので、
夕勤のメンバーの中で、ボクが一番話したのは、このきんに君だったと思う。



この店で働き出してから、数年後。

ボクもきんに君も、
店の中では「ベテラン」と呼ばれるポジションになっていた。


そんな、ある日。

事件が起こる。

この店で、というレベルではなく、
日本全国が巻き込まれた、大事件である。

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