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椎間板性腰痛〜椎間板ってそもそも痛いのか?〜

今日は椎間板性腰痛についての記事を書こうと思います.


◎疫学

腰痛診療ガイドライン改定第2版では,腰痛の内訳のうち,椎間板由来は13%であると報告されています.
一方で,慢性腰痛患者へのブロック注射から得られた知見として,椎間板由来は39〜41%であると報告されています.(大鳥 精司:椎間板性腰痛:その病態生理.Phama Medica Vol38 No1.2020より)

大鳥 精司:椎間板性腰痛:その病態生理.Phama Medica Vol38 No1.2020より引用

正常椎間板では線維輪の外層1/3にしか感覚神経は存在しない(上記図A)一方で,変性椎間板には椎間板内部に疼痛伝達神経が入りこみ,椎間板性腰痛の原因になると報告されています.(大鳥 精司:椎間板性腰痛:その病態生理.Phama Medica Vol38 No1.2020より)

◎病態

椎間板性腰痛を考える上で重要な因子が3つあると報告されています.
1.Innervation :感覚神経支配が存在すること
2.Inflammation:その感覚神経を感作する因子が存在すること
3.Hypermobility:不安定性があること←個人的に大切だと思っています.
(Lotz JC et  al:Innervation,Inflammation,and hypermobility may characterize pathologic disc degeneration:review  of  animal model data.J Bone Joint Surg Am.2006より)

つまり,椎間板が不安定になる条件が整ったときに,その不安定性を背景に炎症が生じ,線維輪内層にまで神経線維が侵入することで,炎症性の椎間板性腰痛が惹起されているのではないかと考えています(急性腰痛).
また,この不安定性が持続すると,椎間板への過剰なメカニカルストレスが加わり続けることで炎症治癒遷延や神経線維の感作,さらなる椎間板変性を基盤にした慢性腰痛症へと移行するのではないかと考えています.

◎姿勢と椎間板内圧

姿勢と椎間板内圧の関連

立位を100%とした時,立位+体幹前屈位(150%),座位(140%)など姿勢によって,椎間板内圧は変動するといわれています.
デスクワークや長時間運転するような仕事,引越し業者などの荷物運搬に就いている方などは,日頃から椎間板内圧が上昇しやすい状態にあると考えられます.
職業上の因子には理学療法士は介入することが難しいですが,椎間板へのメカニカルストレスを減らすための動作指導や患者教育は介入可能だと思います.


以上になります.最後までご覧いただきありがとうございました.
次回は仙腸関節性腰痛についての記事を書こうと思います.
良ければご覧ください.

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※論文を読んだ上での個人的な見解を多分に含んでいます.詳細が気になる方は是非論文を読んで理解を深めて頂ければと思います.

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