見出し画像

「窓辺の猫」第22回 猫離れしよう

我が家には二匹の猫がいます。
三毛猫のセミ猫は、3年前の子猫の頃に庭で弱っていたところを病院通いなどさせているうちに、成り行きで飼うことになりました。
麦わらのトンボ猫は、1年前に痩せた姿で家の中に飛び込んで来て、成り行きで飼うことになりました。

だから、それぞれ推定3歳と1歳ということになっています。

我が家に猫が来てから、私の生活は猫中心になっています。全てのことが猫次第。
家族との会話も猫についてばかりです。
そして、とうとう「家族より猫が心配なんでしょ」と言われてしまいました。

気づかぬうちに、私は人間より猫を優先していたようです。
それはそうでしょう。猫たちは四六時中私の後をついて周り、猫のベッドもケージも私が寝起きする部屋にあります。猫の気配で起きて、猫は私が起きる気配で起きて早朝の甘えんぼタイムを始めます。朝晩ずっと猫と一緒にいるのです。

そうと気づいて、私は部屋から猫を追い出しました。そもそも私が飼うと決めた猫ではないのです。
父が餌付けして、母たちが病院代を払って家族の一員になりました。

しかし、ごはんをあげるのも、遊んであげるのも、病院につきそうのも、トイレ掃除も、人間の共同住居すら掃除するのも私です。
高齢の両親は撫でて抱っこするだけです。

父はセミ猫に嫌われており、トンボ猫には好きなだけごはんをあげて太らせました。
最近ダイエットフードなどあげたり、運動させようとしています。家中を漁ってごはんをぶちまけるので、大変です。
断固として家の中から出ていかないのに、家中の扉を開けるのがトンボ猫です。

セミ猫は乱暴な父を嫌っています。
母は身体が弱いのであまり抱っこができず、撫でさせる係りと決めています。

猫たちが私をあてにするのは当然です。
でも、私が拾った猫ではないのに、私が猫を優先していると言われたらカチンと来てしまいました。
確かに流されて私が猫の世話係になってしまいました。しかし、別に私以外の人が猫の世話をしてもいいのです。
猫たちと私以外の人が一緒に寝ればいいでしょう。私は踏み潰したくないので布団に入れたくないのです。

セミ猫は特に良い子です。
用事がある時は近くにちょこんと座り、撫でてほしい時はたまに鳴きます。

ちょっと病気がちなところはありますが、まだ若いので体力があります。ワクチン打って、時折薬を飲めば生きていけるのです。
人間の私と同じです。

高齢の両親も身体にガタが来ています。
でも、私も家事をしないわけではありません。
ましてや、私しかほぼやらない猫の世話を猫ばかり優先すると言われたらやりきれません。

猫の毛替わりはもう終わったでしょうか。
二匹になり、2倍以上毛が落ちるようになった気がします。毛がついた服は毛を落とさないとクリーニングに出せないので、それでなくとも衣替えの手間はひとしおです。
ただし、それを苦労だとは思いません。猫は人間を手伝えないからです。

人間だとなんで私が?と思います。
しかし、猫の世話は楽しいです。
それは否めません。
猫に関する全てが楽しいのは、私が猫に依存しているからでしょうか。
猫には私に依存してもらいたくありません。私が先に死んでも、楽しく生きてもらいたいです。
だから、私以外の家族とも過ごさせることにしました。
私が猫にとって便利屋でも構いません。
でも、不出来な私は人間の便利屋にはなれません。そして、家族の誰かを私の便利遣いするわけにはいきません。

よろしければサポートお願いします。いただいたものはクリエーター活動の費用にさせていただきます。