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我が家の庭の風景 part.96 「鉢棚」

まだ大丈夫だろうと高を括っていたアロマティカスが霜枯れてしまった。ナスと一緒に寄せ植えしたものがとてもよく繁っていた。
おそらく剪定すればまた繫るだろうが、まだ何もせず様子を見ている。

外の景色を家の中に写し取りたいという願望のある人は多いだろう。
風景画を家に飾るのも、ベランダガーデニングもそうした気持ちの表れだ。
しかし、荒れた庭をそのまま玄関に持って来ようという人間はそう多くないかもしれない。

元気に育って上手くいったものより、霜枯れて弱ってしまったり、へたくそな寄せ植えを玄関に置いておきたくなってしまう。

外に出れば父が散らかしたビニルゴミがわんさと出てくる拾っても土を掘ってもきりがなく、いやになって翌日裏庭にはいかなかったりするが、朝はどうしてもどこからか来る外猫の鳴き声が気になって前庭を見に行く。

軒下にはハーブ花壇と花鉢。
奥庭には春先の園芸植物が芽吹いている。
一方でくっつき虫の雑草がひどく、抜いても抜いてもどこかしらにあって、庭を見回りするたびにズボンにくっついてくる。
花を育てたいならもう少し庭を整えたらどうだと来る人に思われていそうだ。
しかし、逆なのだ。庭を整えるために花を利用しているのである。
花を植えておけば引っこ抜いて父が野菜の苗を植えることも少ないから、花を植え始めたのだ。
花が好きだから園芸を始めたわけではない。しかし、育てると愛着がわいてくる。猫がとりわけ好きだったわけではないが、拾ってみたら猫が可愛くなって、猫の動画を見るようになった。
自炊が増えたら、料理動画を見るようになった。
そのものに触れるところから、愛でる心が生まれてきた。

しかし、私の感性はそこで止まってセンスはなかなか育たないようだ。
そもそも感性が育てようがないのか。
一昨年から玄関に壁紙を張り、コピーではあるが絵を飾り、今年は満を持して棚を持ってきて、ベランダガーデンならぬ玄関先ガーデンをしようと亀の歩みで準備してきた。

しかし、結局飾るのは枯れかけた花。下手の横好きの寄せ植え。
リンドウは玄関先でも寒すぎるらしく、花芽はいっぱいついているものの蕾んだまま萎んで咲かなくなってきた。日が当たって暖かい場所はどこだろうかと心の中で迷ううちに日が過ぎていく。

棚に飾ろうと思っていた、クリスマスオーナメントも思うだけで結局買わなかった。
正月飾りは買うだろう。あるいはマクラメ編みで作ろうか。
家人の定まらない乱れた心が、庭先だけでなく玄関先にも表れるようになった。

黒いビオラ?パンジーが今年のお気に入り。

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