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【木曜日】東と西の薬草園

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ガーデニングに関する短編小説です。Uターン者の山脈遥とIターン者の井中かわずの二人のガーデニング初心者が試行錯誤します。毎回薬草についての雑学を挟みます。
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#ガーデニング

「雨夏の香り 」第1話 

 梨の花が可憐だった。梨の花は4月初旬に咲く。九州の南の方は、桜が終わり梨の花が咲く頃が…

猫様とごはん
3か月前
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東と西の薬草園 10-④

 いちごが頬を染めはじめ、恋が熟すまでもう一押しだ。進級した子どもたちが、クラスメイトに…

猫様とごはん
5か月前
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東と西の薬草園 10-③

 4月半ば。  果実町にある山の中腹の"峠道の貸庭"は今花盛りである。  駐車場から見える木…

猫様とごはん
6か月前
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東と西の薬草園 10-①

 雪柳の白い花びらが降ってくる。3月のいい陽気である。こんな日は、すべての罪が洗われる。 …

猫様とごはん
7か月前
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フルーツフレーバーティーを贈ります⑤

*フルーツ茶漬け【短編小説】 年を跨いで初雪が降った場合はなんと表現すべきだろうか。1月…

猫様とごはん
9か月前
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フルーツフレーバーティーを贈ります ④

アロマティカスの花言葉:「友情」「鎮静」。「鎮静」には、アロマティカスが火傷の治療に使わ…

猫様とごはん
9か月前
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東と西の薬草園 9-③

晩秋に差し掛かっても、まだまだ暖かい10月下旬。バジリコやミントの生育が衰えず、種子取りと同時に刈り取ってしまおうと、遥たち貸庭のメンバーは久方ぶりに勢揃いで庭作業していた。秋まきの種子のスペース作りもそろそろ終わりだ。 遥とカエルと香の三人はなんとはなし野人の後ろで富居の別荘前の野人の見事な庭スペースで作業していた。 「こらこら、ここで寝ないで。花が潰れちゃう」 遥が追い払おうとすると、近づいて来ていた猫はかえって遥の足元に擦り寄りゴロンと花の上に横になってしまった。

東と西の薬草園 9-②

果実町をモデルにした湧水の漫画に登場する新たなキャラクターは、花冠の似合う猫の妖精になっ…

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東と西の薬草園 9-①

峠道の貸庭もだんだんと秋らしい風景になった。赤とんぼが8月の中旬から飛び始め、夏型の大き…

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東と西の薬草園⑧-3

次々と育てた花の鉢を人にあげてしまう人がいた。最初はありがたく受け取っていた人も「次のや…

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東と西の薬草園⑧-2

「最近お米を全く食べてない。本格的にハーブを和食に活用することを考えなくちゃ」 開業準備…

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東と西の薬草園⑧-1「夏庭の過ごし方」

借り物に対する遠慮は誰にでもある。人間自分のものを1つは持ちたいという願望があって当然だ…

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東と西の薬草園 ⑦-1「薬草とハーブ」

四月。『峠道の貸庭』の職員と客たちは、庭師の野人から宿題を出された。自分の理想の庭をデッ…

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東と西の薬草園【閑話休題②】

久々の秋晴れだというのに、まったく冴えない休日だ。 晩秋の心地よい木漏れ日に目を覚ました時には、とっくに日は高く昇っていた。 正午を過ぎている。昨日作っておいたりんごとドライフルーツのミンスミートは本日は登場の機会が無いだろう。 予定していた通りに、フレンチトーストの上にアイスクリームをのせてミンスミートを添え、優雅に朝ごはんを食べている時間はないからだ。 せっかくの休日だというのに、遥にはやることが山積みだ。 まず、案内文を入れずに作ってしまったクリスマスカードに手書き