【化学雑記帖①】化学史への回帰

この記事を綴っている時点で、教員を15年ほど務めている。
これまでいろいろな教科書を使って化学の授業をしているが、最近になって思う。
「教科書の単元の配列が、化学の歴史的な発展過程を無視している」
「教科書を通して学ぶべきことは、人類の知恵の発展プロセスではないか?」

「理科の教科書は科学の方法を学ぶ秘伝の書であり、歴史書でもある」
これは私の知人が仰っていたことであり、私も前々から思っていたことでもある。
今頃になって気づいたが、高校化学の教科書は何十年もの間、ほとんど内容が変わっていない。
(といっても、単位が変わったり、最新の知見も多少掲載されてはいるが)
なぜか?
17世紀後半から20世紀初頭にかけて、化学の基本となる知識や考え方が体系化されてきた。
そしてそれらが様々な場面で脈々と受け継がれているから・・・なのだろうか。

化学の教科書には基本となる知識や考え方が集約されている。
もちろん、体系的に知識や考え方を学び、活用できることは大事。
ところが、現在の教科書では、歴史的な発展過程を無視していることによって、人類の知恵の発展プロセスが見えなくなっている。
実にもったいない。
だからこそ、化学史を学び直し、教科書や物質を通してそれを伝えることが、化学の教員としての役割となるのではないか。
そうすることで、化学を学ぶ人たちが、人類の凄さ&それが引き起こした問題について、より深く考えるきっかけになるのではないだろうか。

只今は2020年度の冬休み中。
ということで、しばらくは化学史の本を読み漁ることになりそう。
気が向いたら、浅学ながらも化学史で私が考えたところをつらつらと綴る予定。

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