某麻雀プロとの思い出

前から書いてあったこの文章を,この際なので公開します.

出会い
僕と某麻雀プロ(もちろん当時は一般人)が出会ったのは北陸の海辺にある高校に入学した春だった(もう15年以上前である).正確に言うと,中学校の部活で会っていた可能性が高いようだが僕もあっちもおそらく覚えていない.記憶にあるのは高校1年の春,同じクラスになった時だろう.

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1年次にクラスに男子が少ないという事情もあり,僕と彼が打ち解けるにはそれほど時間はかからなかった.兄が京大に行ったこと,趣味などをいろいろ聞いたが,いちばん驚いたのは物凄いゲーマー,ネットサーファーだということだった.例えばドラクエ6の仕様を熟知しており,バイキルト→ちからため→きあいため→せいけんづきで1000以上のダメージを出せるとか・・.僕はRPGのような時間制限のないゲームは比較的得意だったが,彼は瞬発的なゲームもかなり得意で,ケータイアプリのぷよぷよのスコアが全国トップ級だということを教えてくれた.

そんな彼はけっこうな弱点があった(今は知らない).そのひとつが,興味のないことを本当にやらないことである.高校の授業でも(彼が)おもしろく感じない授業はほとんど寝ていた.数学もほとんど寝ていてN先生にしばしばしばかれていたが,興味がある確率の単元だけはよくできていたと思う.彼は興味のない事象にはとことん興味がないが,必要性を感じれば自学自習ができるタイプであり(たぶん本当),センター試験では,授業で取っていた地理ではなく,自習した倫理で攻めていたし,授業で扱っていた複素数平面ではなく扱っていない確率分布を解いていた.高校1年時点ではゲームプログラマーになりたかったようだったが,なぜか理系の科目選択で物理ではなく生物をとっていたので大学の情報学科等には行かない(行けない),ということを言っていた.(ちなみに彼がセンター試験の数学①で,数学I・Aではなく数学Iを解いて頭を抱えていたのは別の話)

非効率的な生き方をして,多少ひねくれてはいたものの,彼が様々な方面での才能にも恵まれていることについてはクラスメンバーの共通認識だったし,大物になる(既に大物である)とみんな思っていた.

彼は,関西の第一志望の大学に不合格で,さらに受かると思っていた中期日程も不合格で,小論文のみに賭けた後期日程で東京の大学に合格していたので,複雑ながら「おめでとう」「よかったな」と言いあった記憶がある.僕もついでに第二志望の関西の大学に合格だった(そういえばあの家の主って今なにしてるんかな)

彼が高校卒業時に書いた将来予想は,「高校教師」であった.彼が教師になる,というのは少しは向いていると思った(数週間後に,大学に入って教師になる単位を全取得する大変さを知るまでは).大学で互いに地元を離れたので,彼とは徐々に疎遠になり,盆と正月にたまに地元で会う程度になった.むしろたまに東京で会うこともあった.

地元を離れて
彼はどうか分からないが,僕と彼は偶然にも大学で麻雀を覚えた.ダメ大学生の典型である.彼が大学7年目?(8年目?)のとある夏頃に「旅打ちがしたい」といって大阪に来たのでうちに数日泊めて,大阪の雀荘に通っていたことがある.そのとき,僕は天鳳の特上卓東風で打っていたのを一度みてもらったことがある.オーラスまでは普通に僕は普通に打ってあがりトップの状況に持ち込んだとき,役牌トイツ以外はバラバラの配牌をもらったとき,2巡目頃に横から「チーだろ」「ポンだろ」と言われて,ほぼバラバラから役牌後付の三副露愚形であがりトップを決めた.僕にはあの麻雀はできない(例えばリーチがかかったタイミングで負ける)と思ったので,こいつは本当に違うなと感じたものである.僕は天鳳位に後ろで口出ししてもらって打ったことがあります.ごめんなさい.
翌日,帰ってきたときの反省に「ハイテイ前に大明槓できる牌が出て大明槓して安牌切れば勝てたのにしなかった.ぬるい」とか言っていた.僕が「そんなハイテイつもられる確率は低くね?」と言ったら,「98%が流局でも,2%あがられる.大明槓すれば100%流局.期待値プラスの正当な戦術だ」と言われた.
ちなみに,研究生活で疲れていた僕は3日目か4日目くらいに彼を追い出した.僕にとって麻雀は遊びだという認識から離れられなかったのだ.彼にとっては仕事だったのかもしれない.あの件は僕も若かった.申し訳なかった.(ちなみに,家で彼は僕の買ったリスキーエッジを読んでいた.)
その後,東京の彼の家に一度行って泊めてもらったことがあるのでその件は許されていると思う.家,特に風呂掃除もしてあげたし(10年前くらい.もう忘れていると思う.僕も忘れていた)

僕の分析
彼の能力に対する僕の分析は,よく言われているようなメンタルが弱いとかそういう類ではない.最大の長所を挙げると,
「ルール適応力(ルールの裏をかく能力)が秀でている」
というところである.「形テンは勝負手」とあるように,運に左右されない場面で加点(と失点減)をできる技術を本に書いているのは,そんな「ルールの盲点」を世間に知らしめたかったのだろうと感じる.個人的には,喰い替えアリルール,3が赤のルール,赤はアガリ役になるルール,等の変則ルールでもあっさり真価を発揮すると思う.一方で,同じルールで数年続いて,リーグ全体でルール適応が進んで長所が見えなくなっていたのかもしれない.
一方で,麻雀プロは毎日別のルールで打つとも言われる.今日は赤あり,今日はサンマ,今日はネット麻雀,今日は最高位戦ルール,等・・・ルール適応力が高いのに,毎日別のルールで,シーズン中でも三人麻雀を打ち,ことで混乱している面が個人的には感じられた.本人は否定すると思うが・・

戦力外になったので,打ちたいルールに集中することができる点ではいいのではないかと思うが,実際には希望でないルールで麻雀を打たざるを得ないケースはあると思うので意外と変わらないかな.

僕も応援はしていたが,Mリーグはもっと出入りの激しいものになっていくと思っていたので納得である.ポテンシャルが高いのは前述の通りなので個人的には心配していない.ひとまず,契約満了ということで「第n部完ッ!」といったところなんだろうか?

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