賃上げに考える子どもの心
こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医のしょーたです。
今日は、「賃上げに考える子どもの心」というテーマでお話ししたいと思います。
あなたは、将来子どもたちにどんな風に暮らしてもらいたいと考えていますか?幸せに暮らしてもらいたい。親であれば、そう思いますよね。
今日本では、賃金が上がるスピードが遅い、あるいは停滞しているという問題があります。この状況が今の子どもたち、すなわち次世代にどんな影響を及ぼすのかを考えてみたいと思います。
例えば、賃上げが進まない社会だと、賃上げが進んでいる社会と交流しづらくなりますよね。お昼ご飯を買うにしても、一方では500円で買えた弁当が、一方では2000円になっていたりするわけです。生活に必要な費用が大きく変わってくるわけです。ですから、物価があまりにも違う国にはなかなか旅行にも行けない。そうやって、子どもたちが直接的に異文化交流しにくい現象が起こります。
日本はまさにそんな状況に陥っているわけです。
でも、賃上げが進まない社会=価値が低い社会かというと、そういうわけではありません。日本で売られているものの値段が、海外から見て安かったとしても、その商品の質が劣っているかというと、そういうわけではないですね。
made in Japanの商品には明らかに価値があって、世界に誇れる商品がいくつもあります。食事について同様です。日本では、どこに行っても美味しいお料理が手に入ります。値段が安くても、日本ブランドにはやっぱりいいものがたくさんあるわけです。
ですから、そんな日本は海外から見ると、質の高い商品を安く提供してくれる国ということになります。海外にとっては、とても都合の良い国ですよね。
それに商品だけでなく、日本という国自体もとても貴重な価値で溢れています。例えば、安全です。銃の所持が規制されていて、世界でもトップクラスの治安のいい国です。街並みも綺麗に整備されています。
そういった日本の価値を見失いたくない。そう思います。
子どもたちの人生を考えた時、生まれ育った環境は、その人のアイデンティティの形成に大きく関わる要素です。自分はどんな存在なのか、どんな国で生まれて、その国はどんな状況であったのか。子どもたちが経験したことすべてが、その子らしさとして、その子を支えることになるわけです。
「隣の芝生は青い」と言うように、日本から見ると賃上げが進んでいる国々は青く見えるものです。「給料も高くていいなあ」、そんな気持ちを抱くと思います。これからの時代には、日本から海外へ移住する方も増えると思います。
でも、どこの国に移住したとしても、自分の生まれ育った国の良さを意識できているかどうかは、その人が自分のアイデンティティを肯定的に捉えるうえでとても大切です。世界に誇れる日本で生まれた自分、そのことに価値を見出せるかどうか。それは、子どもたちの心の発達に大きく影響するんです。
今日本で生まれ育っている子どもたちのため僕たちが注意すべきことは、賃上げがなかなか進まない日本で、自分の国の価値を見失わないということです。ぜひ日本の素晴らしいところを子どもたちに伝えながら、色々な世界を楽しめる心を育ててあげたいものです。
今日は「賃上げに考える子どもの心」というテーマでお話ししました。
だいじょうぶ。
まあ、なんとかなりますよ。
湯浅正太
小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて:https://yukurite.jp/)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?