進路と受験の考え方~ユークン先生の学習観~指導者にもとめられるもの。

中学受験で「つぶれる」ということ 不合格という結果よりおそろしい失敗とは…

25年の経験で気づいたことがあります。三種類の生徒がいるということです。


言ってもやらない・言えばやる・言わなくてもやる という類型があるのです。

言ってもやらない、という生徒は例えばどんなに量を減らしても嘘、ごまかしが多い、学友が横で宿題をやっていないと申告している誠実さを誉められているのを目にしながら「やってきました」とつい言ってしまう。そんな生徒の保護者に会うと、お母様が饒舌で主導権を握っている、というパターンが多いことに驚きます。
期待値が高いため「やりなさい」といってしまうのは特に第一子のお母様では無理もないことかもしれませんが、子供は誤魔化す気持ち悪さより 怒られたくない気持ちが強くなり そのような反射の回路が出来上がってしまうのです。

小学校4年までの塾教育機関での成績はどんどん新しい事を習いマスターする「先取り」能力を問われているだけですが、高学年からは持っている知識を組み合わせ手数も増えていく内容になります。そこで問われているのは「本人の意志の力・切実さ」です。低学年の段階で成績が良いからそこそこできる、と思っていても5年の夏休み位からはどんどん破綻していきます。

「わかった」「わからない」のやりとりが成り立ってこその授業です。そこのプロトコルが成立しなければ「意味のない時間」とない時間を重ねた結果となり、結果として周りの希望する志望校にいけなかっただけでなく、その後の知的活動において「わかってもわからなくても別にいい」「考えるってどうやって?」という状態になり進路や人格形成にも修正の難しい悪影響を与えてしまいます。

高校受験でリベンジ、どころでない生徒を多く見てきました。

"言わなくてもやる"ように持っていくために


  • ご家庭では

ガチガチに「言ってもやらない子」の存在は5%ほどで、残り90%は「言えばやる子」でした。
上記ほど極端でないにしろ ご家庭で 「勉強しろ」、「テストの点が悪い」、と言ってしまうが効果がない、という悩みは多く面談等で相談されました。
保護者の方は「優秀なお子様であればその保護者はがみがみ言わなくてすむのでしょう」と仰いましたが、卵が先か鶏が先かの議論はここで言及しませんが、「成績もよく進路も思い通りになる生徒」の集合と「ガミガミいわない保護者」の集合のベン図は驚くほど重なっているのです。叱っている時点でその重なりから外れているという事実だけは留意すべきと思われます。

ではどうするか、色々な対策・方法はあるのですがここでご家庭で有用なことをひとつご紹介します。
それは「ダラダラと叱らず、しかし許さず。ニコニコとやらせる。」です。泣こうが喚こうが約束・達成は守らせる。半強制でも達成感を味あわせてあげて本人の手柄にして「誉めて終わる」。ということです。
叱られてやらなくて済むと学習してしまい、怒る親、やらない子供という役割(ロール)が固定してしまっていることを壊すことが一番です。

・ユークン先生の個別指導-あるべき指導者としては

個別指導では 「量より質」を確保して、「習ったことを、ちゃんと、できるように」という学習の型を徹底させるべきです。近視眼的に来月テストの成績を上げる、といったことより王道を丁寧にコストをかけています。

具体的には「授業を受けっぱなし」「わかったつもり」「ときっぱなし」という陥りがちな学習習慣を身につけさせないこと、そのためには優先順位として

  • 『青コメント(間違った原因を青ペンでコメント)』>『丸付け(ノートテキスト)』>『解く』

  • 『確認テスト』>『授業』>『宿題』

  • 『話を聞く』>『ノートを写す』

といった意識付けを徹底して行っていきます。「やった」は"ちゃんと"・「わかった」は"スッキリ"を中に含んでいるという事を伝えたく思います。嘘・ごまかしに対しては厳しく指導しています。

四谷や大手の教材は、スパイラル方式で何周かしながら深めていくといった構成になっています。最上位校を受ける子が不足ないように作られていますの で、3年時に四谷のジュニア教材等の下地がないと、毎週の範囲の全問題を習得するのは難しいと思われます。先週の復習をしていると今週の課題がこなせな い、だからといって「どうせ難しいしあとでまた戻ってくるから」といい加減な学習態度でいると「授業を受けっぱなし」「わかったつもり」「ときっぱなし」 の悪癖がつき六年になったとき本当の勝負のできない「穴の開いたバケツ」状態で途方に暮れるということが起きます。

"毎日1時間走れば一ヶ月で5kgやせられる"??

毎週10頁ずつでテストをしてそれが合格なら合格の実力がついているという便法は時と場合によっては、大手塾のリスクヘッジです。

逆にいえば、それをこなさないから伸びない、という事ですが それは教育ではなく篩(ふるい)の側面も多い事に気がつきます。

「毎週こなせる子」を 毎週毎週スピードを上げて加速しながら(勿論ついてこれる子はいますし残ります)見つける手段として機能してしまっている場合もあります。

「夢の予定」より「ずれた現実」をどう補正していくか。各自の立ち位置・脚力から

大手のカリキュラムは、「それに乗れている」限りは素晴らしい予定です。

しかし現時点までの先天的なもの+後天的な環境・総学習時間 は各人違い みんな同時にスタートしても受験生活の途中で教科・分野・空いた時期・「現時点での立ち位置」の違いは必然的に増大します。

それを無視して「大手の一斉指示をこなせば伸びる筈」と固執することがどれほどの「伸びるはずの生徒」を阻害するかわかりません。

指導者の存在価値

頑張れるはずのところを見てあげる長い経験から得たさじ加減が存在価値と思っています。
保護者と生徒と指導者は「負担・無理をさけたい・しかし実績を出したい・成長したい」という意味では利害の一致するステークホルダーです。

指導者としても、みすみす「伸ばせるはず」の子を引っ張らないわけがありません。

まさにその「見立て」の技術と ちょうど、無理のないバランスを探りながら その子の伸びる可能性を引っ張る丁寧さを指導者は自慢とするべきです。

中学受験でやるべきことをやり早熟型でない生徒も高校受験のときに圧倒的に有利になりどちらにしても「高学年で指導されてよかった」という指導者であるべきと思います。

志望校=志望偏差値である限り際限なく上がります。勿論指導としてはそこを考えそれ以上を応援しますがそこに行けない事が「失敗」となるならば生徒含め不幸と考えます。現在の立ち位置からの差分でどれだけ行くか、公平な評価ですと平均の偏差値から判断して半年で適正校を有望校に。偏差値のゾーン6,7スライドが頑張る成果の目安と考えています。

無理して入った上位校より 鶏口となれる品のある学校が人格形成の時期と重なり成功例が多い(大学実績だけではない。高校からの偏差値や校風や通学コストはとても大きい)事にご留意ください。

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