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子宮からの出血で命の危険を感じた話②

ようやく救急隊員が到着し、「搬送先の病院まではここから30分くらい…」という声が。私は「30分も持つかなぁ…」と気が遠くなった。意識も朦朧とするし、深く呼吸ができない。指先も冷たくなっている。

「このまま意識がなくなったら、どうなるんだろう」

考えれば考えるほど、心配になった。でも不安になると脈拍が上がってしまうので、無心になろうと努めた。

これまで、なんとなく抱いていた死のイメージは、痛くて怖そうなものだった。しかし出血元の子宮はまったく痛くない。

「血を失うと、あっという間に体力が奪われて衰弱していくんだな…」

救急車の中で死んでしまうような気がして、とにかく怖かった。救急車に同乗した夫は、ずっと手を握ってくれた。

途中、点滴がなくなりそうになるというハプニングもあったが、なんとか搬送先の病院に到着。

救急車を降りると瞬く間に処置室に運ばれ、大勢の医療スタッフに囲まれる。点滴や輸血などの処置が同時並行で進むなか、産婦人科の先生が状況を説明してくれた。子宮内に仮性動脈瘤があり、現在出血は落ち着いているものの、出血の影響でショック状態になっているとのこと。

子宮動脈塞栓術(UAE)を受けると、妊娠率の低下や、妊娠しても流産や早産、妊娠高血圧などの周産期リスクが高くなるそうだ。正直、将来子どもが欲しいのでショックだった。でも子宮を残せれば妊娠・出産できる可能性はゼロじゃないと信じて、「手術をお願いします」と答えた。

UAEの前に足の付け根に局所麻酔を打たれたが、あまり痛みは感じなかった。局所麻酔なので、手術中も意識がある。カテーテルが入っていく感覚があり、くすぐったいような違和感。CTの映像で体内に造影剤が流れるのが見える。造影剤が流れるときは、体がぽかぽか暖かくなる感覚。場所によっては、少し痛みを感じることもあった。

手術は無事に完了。安心したのもつかの間、次は下腹部痛に襲われる。

つづく




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