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出雲大社(1)縁結び

東京からお客様がみえ、出雲大社にご案内した。島根半島の西にある出雲大社は「大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)」をおまつりしている。“おおくに”と読まずに「だいこくさま」として慕われている神さまで国造りをされたといわれている。農耕・漁業をすすめ殖産の法を教え、人々の生活の基礎を固めると共に医薬の道に通じ今もなお人々の病苦をお救いになる神様、と出雲大社では解説している。この説明を読むと「ああ、だから、ワニザメに皮をはがれたウサギも助けることができた」と納得できる。でもじゃ、なんで縁結びの神様でもあるの?と疑問がわくが、この「縁結び」ということは、単に男女の仲を結ぶことだけでなく、人間が立派に成長し幸福になり社会が明るく楽しいものになるためには、人間同士がお互いの発展のためのつながり(縁)が結ばれることが基本という広義で解釈されている。今ふうに表現すればヒューマンネットワークを作り、大切にするということだ。

 一説には美保神社の恵比寿様はじめ180人あまりお子さんがおられたと伝承がある。この理由で縁結びの神様と皆さんが期待するのではないだろうか。

古代の出雲大社のお社は地上48メートルにあり、たいそうな建築物だったことが発掘調査で裏付けられる。これはエジプトのピラミッドや万里の長城と肩を並べる。しかし、現在のお社は高さを競うものではない。

大国主大神はその霊力によって、朝鮮半島や近隣の島などを集めて国造りをされ(これを国引きという)、この国を天照大神に譲られたとのこと(国譲り)。「造って譲ってしまってはメーカーたる責任はどうするの」と余計な心配をするが、以後、今日に至るまで、全国神様会議を主催するのが出雲大社だ。「?!それは何?」暦をみればおわかりのように、島根県以外、10月は神無月という名称。しかし島根・出雲国では神在月といい、(陰暦10月10日)に神迎祭を、翌日より7日間は神在祭をする。この目的は国譲りのときに天照大神に「私が治めていますこの現世(うつしよ)の政事(まつりごと)は、皇孫(すめみま)のあなたがお治めください。これからは、私は隠退して幽(かく)れたる神事を治めましょう」と申されたとか。この「幽れたる神事」とは、目には見えない縁(えん)を結ぶことであり、それを治めるために全国から神々をお迎えして会議をなさるということらしい。

 今年もまた、結婚率と少子化問題が論じられるかもしれない(笑)

 

ゆうこの山陰便り NO.16 加筆修正

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