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山陰の天気(5)雪おこし

 昨年の暮れ、お正月の準備の買い物をするために車で出かけたとき運転しながら主人が、雪おこしだな、と呟いた。「雪おこし・・・!?」と鸚鵡返しに言ったら「雪がふるまえの雷のことだ」という説明。耳を澄ますと確かに雷鳴がした。
その後、雪がふる前に雷鳴が響くことを雪おこしというのは山陰地方だけで言われていることだとラジオのおしゃべりで聞いた。その雪おこし通りに大晦日から雪が降った。けれども積もることもなくすぐに消えてしまった。NHKの全国天気予報だと日本海側は大雪と出るが、関東からみる日本海側は富山や新潟、山形、秋田だなと感じる。山陰は日本海側だけれど穏やかで豪雪ということでもないらしい。
 雪道運転初心者としては、ちらちら雪が舞っても滑るのだと決め込んでビクビクしていた。スタッドレスタイヤにしてしばらくの間普通の道で急ブレーキを試した。装備はしたが雪は一向に降らず、このタイヤは損をしたのか、とさえ思った2月初旬ついに雪が降った。街中まっしろ。国道は除雪してあるが、すぐにアイスバーン状態。ノーマルタイヤの車が道路の真ん中で△表示板をたてて立ち往生。車での移動は通常の2倍の時間がかかった。日がさしたかと思うと一転して吹雪く。午後になるとライトを点灯させた車が目立った。
 信州のスキー場くらいしか雪の経験のない私は見るものがみな面白くて珍しくてキョロキョロしていた。3日目にはすっかり融けいつもの街の風景になった。今日15日までの間に結局4回ほどの積雪。オフィスの窓から大山が見渡せるが、あそこがゲレンデだといえる日は晴れ、曇ると全く姿を見ることができない。
 せっかくだからスキーに行った。最近スキーの人気は落ちてしまったが、その言葉通りリフト順番を待つことはなく疲れ果てるほど滑った。スケートボードの若者は多かった。今年は久しぶりにウェアを新調したから、腕前はともかくゴキゲン。用心深く滑って、今日は転ばなかったと自慢しようとしたら、スキー板もはずし、いつもの靴にはきかえてすぐに転んだ。大笑いされたことは読者のご想像の通り。
新潟や信州と違い、大山は単独峰で眼下に米子の街が見え、雲がきれると日本海がのぞめた。海の見えるスキー場というのは他にどこがあるのかしらと思う。
帰る途中で温泉に立ち寄った。大山中腹に温泉がある。皆生温泉と違い塩分はなく透き通った爽やかな湯だ。
立ち寄ったホテルも例にもれず海外からのツアーも受け入れている。米子空港はソウル-米子間が就航されているので韓国からの旅行客が多い。ホテル内の注意書きはハングル語、そして中国語で書かれている。しかし日本語のものは皆無。
最近のワカイモノはなどといいたくないが、日本人にこそ注意書きが必要・・・とお湯につかりながら思う自分に苦笑してしまう。

準備したにもかかわらず、結局、一般道もスキー場までも私は一度も車の運転はしていない・・・・
(笑)
ゆうこの山陰便りNo.10

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