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サルボウガイ

気温が下がるといくら好きでもさっと近寄れないのがスーパーの魚売り場。寒さが一段と増すように思える。でも美味しい物を求めて結局は必ずのぞく。そして「あった、あった、今年も」と嬉しくなるのはサルボウガイ。生鮮食品の常で出始めは高価。こちらに来て間もない頃は、高いけどと思いながら購入した。今は「お楽しみはこれから、これから」と自分に言う。
 

 赤貝だと最初は思った。ただお寿司屋さんのネタの赤貝より小さい。で、産地がすぐそばだから小さいのも売り出すのだ、と勝手に解釈した。でも赤貝ではなくサルボウガイという正式な名前をしばらくして知った。
 
 
 この貝は中海に生息していたが、自然消滅した。原因は数々あるらしいが、とにかく無くなってしまった。その後、漁師さんが偶然見つけた。中海自然再生協議会の「有用二枚貝(サルボウガイ)復活を目指す事業」に基づき、養殖にチャレンジ。中海の「赤貝」が当たり前に食卓に並ぶ日を、もう一度と願い、奮闘している。今店頭に並ぶのは県外産あるいは外国産が多い。
 
 私の料理方法は
ギザギザしている貝殻の表面に残る泥や砂を洗い流す。(冷たい水でせっせと洗うのは手が冷えて辛いが美味しいからと我慢)貝原表面にハマグリやしじみと違い凹凸がある。
友人達は適当に洗うよ、と言う。貝殻をつけたまま煮て食べる時は身だけだからだそうだ。で、洗うところで躓きそうなのをこらえ、それでも適当に洗ったら、熱湯にくぐらせてから身をとりだし生姜と醤油、砂糖でコトコト煮る。お酒のアテにもなるけど、炊き込みご飯も絶品。くぐらせた熱湯は布で濾して出汁として使う。
 
 山陰ではお節料理にも使われる。子供の頃は冬場の食卓によくのぼったと主人はいうが、この一品だけで他のおかずはいらない、というわけにはいかない。汁にも最適だ。すまし汁にする。
 
 ちなみに“さるぼうがい”と入力すると「さる妨害」と変換されるので、この貝は美味しいのでおサルさんに食べられてしまうのか、と食いしん坊の私は錯覚する。おサルさんがこの貝を手に持っている姿を連想するとなかなか可愛いが、ナマ物は食べないかも、、、
 

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