5月21日の日記

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この気持ちを誰が知ろう。この気持ちを、いったい誰が止められよう。

初めて彼女の寝顔を見、その頸を掻き抱こうとした瞬間から、ここまではもはや必然の流れといってよい。例え神であってもこの気持ちを止められない。彼女と手が繋げたら。髪を梳けたら。況してキスが出来たならどれほど素敵だろう!

友達と恋人との間には極めて僅かで、しかし極めて大きな距離感の差がある。わづか50cmの距離にあっても、僕にはそれ以上近づくことも、肩を抱くことも出来ない。
「恋人同士であれば」何度もそう思った。
最早恋だ。間違いない。
あの長い髪を、白い肌を、フチの無い眼鏡を、微笑みを、全てをこの胸に収めたい…!
好きなのだ。彼女のことがたまらなく好きなのだ。
逢いたくて仕方がない。しばらくは病から抜けだせそうもない。

人は恋をすると途端に詩人と化す。それは詩が思い浮かびやすくなるというよりは、寧ろ頭の中が自然と詩的な形になると考えたほうが良い。
ああ、もう何を見ても君を思い出す。殊更に、長い髪は今の僕にとって天敵だ。君を思い出し、慾情し、切なくなる。何も手につかない。例えてに着いたとしても、次の瞬間にはあたりに君がいやしないかと探し始めていることだろう。

引き際も押し際もわからなくなっている僕にとって、駆け引きなどできるはずもなく、勿論この気持ちを鎮めることも出来っこない。
彼女に話す。それが最善の、そして唯一の方法なのだが、おそらくしばらくはこの状態が続くだろう。
少なくとも今わかることは、彼女は僕を「好いて」はいない。嫌いではないだろうが、友達以上の感情を持つことはないだろう。

兎に角
今言えるのは只一つ!逢いたい。抱きたい。キスがしたい。もっともっと近づきたい。

そうだ、相手の名を未だ記していない。
それはヨシムラさんだ。

(ほぼ原文ママ)
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