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自分が日常で感じた忘れたくない時間について

今日は日曜日。祝日のお昼の時間のワイドショーでやっていた、ネタが大きなお寿司を食べに成田に行く。朝8時頃に起きて、身支度を進める。パリで買った、ネイビーにピンクのロゴが入ったお気に入りのキャップをかぶり、同じくピンクのカーゴパンツを履く。

お腹は空いているけれど、今日はお腹を極限まで空かせて、お寿司を食べたいから我慢。白湯だけ一杯口に入れる。

鏡を見て最終確認をし、ニューバランスの靴に足を入れたらドアを開ける。日当たりの悪い7畳1Rの賃貸では、ドアを開けるまでその日の気温や天気が分からない。2月下旬、まだまだ寒い日が続いているけれど、今日は太陽が出ているみたい。青空も気持ちがいい。なんだかいい日になりそうだと思いながら、水色のバッグを肩から下げて家を後にする。

最寄りの駅に着いて、いつも通り改札へ入り、山手線に乗り込む。成田に向かうため、日暮里駅で乗り換え。乗り換え時間が少ないかと思っていたが、一本早い電車に乗れていたらしく、余裕だ。のんびりとホームに下りる。やはり太陽が出ていて気持ちがいい。数分して電車がホームに到着する。カップルや家族連れが多いが、都心の電車ほど人は多くない。いつもの満員電車とは打って変わって、余裕で座ることができた。友人からも連絡が来て、同じような時間に到着することが確認でき、あとは電車に揺られるだけ。

さて、ずっと読みたくて読めていなかった本を読もう。スローグッドバイ、装丁のちょっと濃い青色を背景にピンクのキャミソール姿の女性がフレッシュでなんとも今日の天気にぴったり合う。出先に本を持ってくるのを忘れることが多いが、今日の私には二重丸をあげたい。

1ページ読む。あれ、これは。。ページをめくる。やはり、早く読み進めるのがもったいなく感じる1冊だと分かり、じっくりじっくり1ページを大事にめくっていく。

ガタンガタン。

ふと気が付くと、ほとんどの乗客がどこかの駅で下車している。同じ車両にはおじさんが一人いるくらい。

そのあとも電車はゆっくりと停車を続けるが、聞いたことのない駅名がつづく。薄黄色の日差しが電車に優しく入り込み、私の肩をほんのりとあたたかくしてくれる。心地よい電車のガタンガタンという音と一緒に見慣れない穏やかな景色が流れる。カラフルな屋根の家々、ふわふわと浮かぶ白い雲が浮かぶ青空の下で布団を干している家々、車掌さんののんびりとしたアナウンスの中に遠くから聞こえてくる踏切の音、そして自分の空腹に耐えきれなくなっているお腹の音。停車した駅では鳥の鳴き声が聞こえてくる。入り口から吹き込む滑らかな風。日差しと吹き込む風のバランスがちょうどよく、縁側でお昼寝をしているようだ。どうかどうか、今スマホの通知音よ来ないでくれと心から願うほど、心地よい時間が流れる。眠たいけれど、この時間を存分に味わっておきたくて、重たい瞼を何とかこじ開けながら目的地までを過ごした。

このあとのお寿司もさることながら、電車の中が幸せに満ち足りていて、一生このままがいいとそう願ってしまった、私の忘れたくない時間。


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