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ジャズピアニストが私にとって天職な5つの理由を現役プロのジャズピアニストが説明する。【特集号】

みなさんこんにちは(●^o^●)
ジャズピアニストのゆうこりん、こと二見勇気です。
その美貌から日本ジャズ界の木村拓哉とも呼ばれています。(←嘘)

現在コロナの影響で音楽のイベントやコンサートの多くが中止になっている事は皆さんご承知の通りだと思います。我々ジャズミュージシャンもモロに影響を受けました。( ;∀;)

私は現在米国、インディアナ大学のジャズ科に籍を置いていて、学期末(今年の5月中旬)まで通うはずだったのですが、コロナの影響で、キャンパスは閉鎖し、空港も直ぐに閉鎖になるという噂を聞き、急遽3月下旬に日本に一時帰国をしました。日本に帰ってからは、学期末まで、オンラインで授業を取っていたのですが、時差もあって夜中の3時からクラスが始まったりと、もう気がおかしくなるかと思いました。また前学期はアシスタントインストラクターという仕事をしていて、副科のジャズアンアンブルの指導などもオンラインで行ったのですが、コロナの関係で学生の一人が鬱になってしまい、彼はベーシストだったので、(ジャズのアンサンブルにおいて大黒柱のようなパートです。)アンサンブルが成立しなくなり、単位をあげるべきか、あげないべきか色々悩んだり。とにかく精神的に追い詰められました。

さてそんな中、少しでもコロナが収束することを考えていましたが、夏の3カ月にわたるツアーは全て中止。3度目の中国ツアー、5度目の韓国ツアー、そして6度目の日本ツアーは中止。

8月の下旬にはアメリカに戻り、来年修士を取って卒業の予定でしたが、現在のアメリカのコロナの状況、大学の状況を考えて一年休学としています。

さて、こういった私の話を聞いて、励ましのお声をかけて頂く事が多々ありました。また過去にリリースしたCDを買って下さる方もいたり困った時にここまで人は優しくなれるのかと私は感極まりました( ;∀;) 本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

コロナ渦で色々と大変なのは事実ですが、実を言うと当の本人は今の現状を非常にポジティブに受け止めております。笑 
夏のツアーが無くなったのは勿論残念ですが、その分練習や、今までオンライン上で自分をプロモーションをする事をしてこなかったので、そういった事に時間を使えて幸せです。noteを始めたのもそういった経緯があります。米国にいた7年間、特に昨年は寝る暇がないくらい忙しかったので、今はこれからの飛躍のための準備期間とさせて頂いております(●^o^●)

勿論、家庭があるミュージシャンや、上京されて一人暮らしをされているミュージシャン、お店を経営をしている方は本当に大変だと思います。私は幸いにも33歳独身で、帰る実家があったので、これは本当に感謝しないといけませんね。

話は長くなりましたが、このコロナの厳しい中、色々な職種で働く人々と同様に、ミュージシャンが世間から取りざたされ、励ましの声を多く頂く状況ですが、私は仮にもし生まれ変わってもまたジャズピアニストになりたいと思っています。その位天職だと思っています。勿論仕事をしている上で大変な事も多々あるのですが、それはどんな仕事をしていても大変な局面に直面することはあり、嫌な事や辛いことはどんな仕事でも多少なりとあると思っています。(ジャズピアノの職業としての大変さは次回詳しくお話ししたいと思います。)そういったネガティブな面を差し引いても、ジャズピアノの仕事はやはり素晴らしいと思っています。今日はその理由を5つ紹介したいと思います。では参りましょう。


1.来て頂いたオーディエンスの方々と喜びを共有できる。
ベストセラー、ロバートキヨサキ氏の「貧乏父さん、金持ち父さん」の本をちゃんと読んだことがないのですが、あれを解説した本をいくつか読んだところによると、この世には基本的にお金を生みだしている人は3つのタイプ:労働者、経営者、そして投資家や資産家(いわゆるお金にお金を生ませる働き方をしている人)に分類できるようで、この本でキヨサキ氏は一番最後のビジネスモデルが幸せである、何故なら自分の時間や労働によってお金を生み出すのでなく、お金がお金を生み出すからだと言い、そのビジネスモデルを読者に構築するように説くそうです。私はこの考え方には反対の立場です。なぜなら、人は誰しもが潜在的に社会に役に立ちたい、貢献したい、自分が必要とされたいと思っており、労働の本当の意味は、お金儲けではなく、社会とどう関わっていくかにあるからだと思っています。(勿論、株や投資も立派なビジネスで、このような仕事をしている方を蔑んだりしているわけではありません。)労働の意味は何かと考えた時の私の一つの個人的な意見だと思ってくださればと思います。ミュージシャンであって幸せだと思う時の一つは来て頂いたお客さんに、その日の演奏を喜んで貰えた時です。日々の練習が大変だったり、スランプで思うように伸び悩んだりして大変な時がありますが、例えば「仕事で疲れていたけど、明日も頑張ろうという元気が出た。」「スイングのリズムが心地よかった。今日はすっきり眠れそう。」といったように、オーディエンスの方が少しでも私たちの音楽によって日々の生活が少しでも楽になれれば、ミュージシャンとして嬉しい事はありません。そして演奏の上手くいった日はお客さんと、その喜びを共有できるのです。

2.一生続けられる
音楽は生涯学習です。終わりがありません。スポーツは年齢とともに能力が衰える種目がほとんどですが、音楽の場合、特にジャズピアノの場合、年齢と共に深みが増し、結果的に演奏が良くなるケースもあります。
勿論、ただ歳を取れば上手くなるというわけではないですし、年齢を重ねるごとにテクニックは衰えていくので、絶えず努力を続ける事が当然のことです。晩年、若いころの面影を全く残さず、過去の栄光はどこに?という巨匠ピアニストも残念ながら多数見てきました。勿論、ケガや麻痺などの事もあるので、当人が努力を怠ったかどうかはケースバイケースですが、晩年も一日4時間ピアノを練習をし、亡くなる94歳まで最高の演奏をし続けたハンクジョーンズの音楽を聴く度に、私は希望をもらい、生涯を通して音楽を続ける事の尊さや、自分は生涯を通じて学べる課題がある事に感謝するのです。

ジャズピアノは遅く勉強を始めた人にもチャンスがあります。最近ではジャズもクラシック音楽と同じように英才教育として扱われる音楽となりつつあり、特に米国では幼少教育が進んでいますが、ジャズ史に残るレッドガーランドは18歳でピアノを始めたと言われていますし、福井良氏も初めてピアノを触ったのは20代だったと聞きます。(ちなみに、福井良氏はアメリカで最も有名な日本人のピアニストかもしれません。日本ではあまり知られていませんが)勿論、ピアノの基礎は大事ですし、ジャズであろうが、クラシックであろうが、テクニックは大事なことは否定しません。しかし、20代前後でピアノを始めたレッドガーランドがジャズ史に名を残すという事を考えると、私もこれから本気で頑張れば、将来ジャズ史に名を残せるのではないか、将来に希望を抱き、努力を続けるためのモチベーションに繋がります笑 


3.世代を超えたミュージシャンと関われる
私が高校を卒業してこの世界に入ったばかりの時です。品川のヤマハで仕事をもらった時に、良く70代のおじいちゃんドラマーと一緒に演奏する機会がありました。彼は戦後のいわゆる米軍基地を出入りしていた叩き上げのドラマーで、楽屋でも色々、仕事終わりにも一杯(10代でお酒を飲んだか飲んでいないか覚えていないですが 笑)交わし、楽しい思い出がありました。
10代と70代が一緒に仕事を出来る仕事ってそうはないのではないかなと思います。また、20代の前半の頃は、日経新聞の社員のOBを中心に作られたアマチュアバンドにゲストで毎月呼んで頂き、クラブで演奏したりしました。20代前半のペーペーの私でしたが、アマチュアの私たちに付き合ってくれてありがとうという事で、伴奏代として一万円、バンドリーダーの方がポケットマネーで、払ってくれました。若い頃に、温かい社会人のおじさん方々と関われたことは私の良い思い出になりましたし、多くの経験となりました。

4.ジャズは世界共通語である。
私は昨年と一昨年に中国にソロピアノのツアーで、2年間で70回の公演、50以上の都市を周りました。昨年のツアーの終盤のオフの日に成都に訪れた際に、ジャズクラブがある事を発見し、丁度その夜はジャムセッションだったので、数曲ジャズを弾いたのです。欧米ならまだしも、中国人の聴衆が歓喜で私の演奏に応えてくれた事に非常に驚きました。その他ヨーロッパの各国や、東南アジアの国々でも、ふらっとジャズのお店に立ち寄り演奏をしたことがあります。勿論、一言にジャズと言っても、演奏される人種によって響きが違ったりする事もあるのですが、初めて会った言語も違う人々と、音楽を通じてこんなにも近くなれる、心を通じ合えるという事はなんて素晴らしいのでしょう。(中国には4年前にジャズのバンドで演奏旅行に行った事があります。その時のエピソードも今度書きたいと思います。)

5. 人類が残した芸術・英知に触れる事が出来る。
これが私がジャズピアニストは天職だと思う一番の理由かもしれません。ジャズは数年後にはジャズを築いてきた巨匠という人々がこの世からいなくなるでしょう。クラシックでいう、モーツアルトやベートーヴェンを勉強するように、これから数十年、いや数百年と、音楽大学でアートブレイキーやマイルスデイビスを勉強する時代が来ると思われます。ジャズとはその位崇高でクラシックに並ぶ芸術音楽であると私は思っています。

人は何に幸せと感じるのか?これは人それぞれかもしれませんが、私は人類の残した英知を勉強をし、より知識が深まり技術が向上する事によって、見られる世界がある時に幸せだと感じ、そして自分のラーニングプロセスを日々実感できる環境だと思います。

私の世界史の知識が正しければですが。。。ヨーロッパのルネサンス期に活版印刷の技術が向上し、本が多くの市民に出回るようになりました。それまで一部の貴族・特権階級しか読めなかった文字という暗号を、一般大衆も理解するようになり、これがキリスト教への考え方を改め、宗教、科学が進歩するきっかけとなったと理解しています。(あってる?)

何が言いたいかと言いますと、これまで見えなかった世界、聴こえなかった世界が、ジャズの勉強を通じて、(理論、和声学、トランスクリプション、人生観、巨匠との対話、演奏を見学、ピアノの練習、アンサンブルの経験等を通じて)見えてくるのです。これは10年前、5年前、いや1年前の自分には見えなかった世界が見えるという発見が毎日あるのです。2つめの理由と似ていますが、一生を通して、自分は人類が残した英知を研究する事により、自分の成長を確認しながら、新たな世界を発見してくことが出来るのです。「あー、今日はキースの対位法を勉強しないと」「オスピーのあそこの速弾きはどうやっているんだ」「ハンコックのディミニッシュスケールを練習しないとな」常に自己と対峙し、そしてこの芸術音楽と向き合う、この日常がある事に私は感謝しています。

【完】


写真:クイズ 写真は誰でしょう?正解は明日!(●^o^●)

ジャズピアニスト 二見勇気
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