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「第36話」NYC ユニオンスクエアのレストラン・BITE 14でピアノを弾いた時の思い出【後編】

エピソード4(ニューヨーク・短期大学時代)第36話

ユニオンスクエアにある小さなカフェレストラン、Bite 14での思い出話を3回に分けたのには理由がある。前編ではギグを手に入れた経緯、中編ではギグでの思い出を詳しく書きたかったからだ。今回後編では欧米と日本人の音楽に対する考え方の違いについて深く考察していきたいと思う。

私がニューヨークに暮らしてから、特にBite 14で演奏するようになってから分かった事がある。それは、欧米人の音に対する寛容さと音楽を日常生活に取り入れる文化である。

考えてみてほしい。Bite14はわずか10畳にも満たない小さなレストランなのに、ここでバンドに演奏させようという発想を(笑)しかもドラムを入れても何も気にしないのである。このレストランは床がコンクリで、壁もタイルで出来ているので、演奏をするとかなり響く。ドラマーが少しでも強く叩くと、それはもう爆音が店中に鳴り響く。ドラムの近くにいる客は、驚くような音量を経験するが、うるさいと文句を言われることはなかった。

ある日、バンドメンバーのドラマーのマイクと一緒にBite14で演奏した時の事。彼はロックドラマーでもあり、ヘビメタのような音楽もやるので、ドラムはかなりうるさい。その日私たちの演奏はヒートアップし、彼のドラムの音量も凄い事になっていた。音に寛容なオーナーのアミも慌ててキッチンから飛び出してきた。演奏中の私の耳元で、ボリュームを落とせと言ってきたのだが、それを見ていた目の前の観客は「ふぉーー(^o^)/」という感じで音楽を楽しんでいて、音量を小さくする事に不満を言っている。アミは、Okay Okayと言って諦めてキッチンに戻っていった。私はその時の録音を今でもたまに聞くが、一連のやり取りを聞くと笑ってしまう。

基本的に外人は体もでかいし、言葉も腹から発声しているような感じだ。そもそも日常会話でも発する声が大きい。大学の講義で声の大きい講師の前で授業を2時間受けていると耳が痛くなることもある。これに慣れると、例えば日本の路上で道を誰かに譲った時の相手の「ぁ・・すぃませぇ・・ボソッ」という声にイラつく事がある。もっとハッキリ喋ろと 笑 

話はそれてしまったが、欧米では音量に関して寛容な社会である傾向が強いような気がするのだ。

次に音楽が日常の身近にあるという話をしたい。

Bite14で演奏していた2年半、多くの友人がお店に来てくれた。短期大学の友達、学校の先生、チューター、ピアノの生徒、Bite14にたまたま客で来てた人が私たちの演奏を聞いてくれて、それからファンになって定期的に通い詰めてくれた人、日本からNYCに観光で訪れている友人、それから意中の女性(空振り三振!)ルームメイトも遊びに来てくれた。不思議な事に、演奏がほとんど聞こえない位忙しく、お店が混んでいる時でも、みんな喜んで帰ってくれた。私たちの演奏というよりも、彼らは(特にカップルは)食事をする空間に生の音楽があるという事が好きだという印象を受けた。

最近の事だが、インディアナで大きな家を8人でルームシェアしていた時の事。私の部屋の真下に住むルームメイトが、ある日、下の音がうるさくないか尋ねてきたのである。私は壁が厚いので何も聞こえないし、心配するなと伝えた。彼女は「良かったー(*^▽^*) 私は落ち込んだ時に、元気を出すために、大きな音楽をかけることが良くあるから心配していたの(/ω\)」(←かわいい)と言っていた。私は気持ちが沈んだ時には、静かに本を読んだり、瞑想したりするので、今まで大音量で音楽を聴く人をネガティブに見ていたような気がする。しかしこれは文化の違いかもしれない。

考えてみれば、ニューヨークのメキシコ人街に住んでいた時に深夜の3時、4時に外の車が超爆音でバチャータをかけ、不眠症になってしまった時期がある。高度経済成長期の団地でピアノ殺人が起こるくらい日本人は音に敏感だと思う。

私は、未だにニューヨークの地下鉄の車内で大音量で演奏するミュージシャンを軽蔑するのだが(私は電車内で静かに瞑想する権利を侵害されたと思っている)多くの乗客は、うるさい音楽を気にしない。それどころか、ありがとう、元気になったよとチップをあげるものさえいる。

何ともまとまらない記事になってしまったが、ニューヨークに限らずアメリカ全土で、レストランやちょっとしたパーティーにはライブ演奏が付き物だ。このような爆音への寛容さや、音楽への愛着が、今日のアメリカのジャズの文化と密接な関係にあると思うのである。

【続く】

写真:Bite 14でウェイトレスで働いていたカレン。可愛いでしょ?(*^▽^*)(写真目当てでこの投稿読んだあなたエッチアルネ!フォローよろぴく)なぜかモデルの女の子が多く在籍していた。いつもカウンターからニコニコして聞いてくれた。彼女がいた日は彼女の好きなスティーヴィーワンダーの曲を良く弾いていた。いつも仕事上がりに1ドル(何故か1ドル)チップボックスに入れてくれた(*^▽^*) 彼女との思い出話もまた今度したいと思う。

【お知らせ】
最近マガジンを作りました。理由は過去の日記を有料化する事で、毎日日記をチェックしてもらいたかったのだが、あまり意味がない事が分かった 笑
幸い、マガジンを購入した方はまだいなかったので、無料に戻してよかった。しばらくは無料の記事を書いていきたい。シェアやライクで広めてくれると嬉しいワン(*^▽^*) 今日も読んでくれてありがとう。ではまた明日。

【お知らせ2】
昨日はインスタグラムに新しい動画を投稿した。インスタグラムでは主に練習の動画を投稿している。ちなみにカルメンの舞台となったのはスペインのセビーリャなのだが、誰も理解してくれなくて筆者は悲しい😢 こちらも登録4649だわん (*^▽^*)

ジャズピアニスト 二見勇気
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